2018 Fiscal Year Research-status Report
1976年から改革開放政策時期までの中国における職業演奏家の研究
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18K00246
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長内 優美子 立命館大学, 経済学部, 非常勤講師 (80645036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 改革開放政策 / オーケストラ / マネジメント / 中央楽団 / 中国国家交響楽団 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度において本研究は、当初の計画に沿って、改革開放時期の北京における楽団マネジメント改革についての質的研究を行った。具体的には中央楽団の解散から国家交響楽団の設立、その運営について、実態と評価についてのインタビューを4名に対して実施し、文献資料と比較対照した。 4名の対象者は次の通りである。1.中国音楽家協会元副主席、中央楽団社会音楽学院副院長、ピアニスト鮑蕙蕎氏。2.国家一級演奏員、西安音楽学院客員教授、音楽評論家、ヴィオラ奏者景作人氏。3.中国交響楽団国家級バイオリン独奏者、盛中国氏。4.上海音楽学院元教授、中央音楽学院教授、ピアニスト呉迎氏。彼女/彼らにおいて当該時期の状況と楽団マネジメントの詳細、および今日それらを振り返っての評価についての見解を聴取した。4件のインタビューにおいては共通して、国家交響楽団設立当初における一年間の有期雇用、毎年の選抜試験によって正規メンバーを登録するといった急激な改革が、楽団運営にどのように影響したか、また楽団の音楽性をどのように変化させたかについて詳細を聴取した。 採録したインタビュー音声の文字起こしと聴取内容の分析、および文献資料の収集と比較対照を行い、報告執筆のための準備を行った。 なお、対象者の盛中国氏は、本研究の計画立案当時から体調がすぐれなかったが、特に配慮してこの調査に応じてくださった。訪問調査実施からわずか一月あまりのち、薬石効なく逝去された。ここに謹んで氏のご冥福を祈るとともに、本研究の喫緊性について再認識に至ったことを記したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画における調査対象のうち、過半数の演奏家・教育者へのインタビューを初年度のうちに行うことができた。予定より速い進捗状況であるといえる。 現在、採録したインタビュー音声の文字起こし、翻訳と平行して文献資料の収集と翻訳を行い、比較対照することにより、当該時期の楽団改革について複数のアプローチを行っている。インタビュー内容の検討と分析を進め、報告作成の準備に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に行ったインタビューについては研究ノートとしてまとめて発表する予定である。また引き続き北京において教育者・演奏者へのインタビュー採録を進める。さらに、中央楽団の改組改革から中国国家交響楽団成立への経緯、北京交響楽団の設立などについて、香港大学名誉研究員である周光蓁氏、およびスタンフォード大学教授Jindong Cai氏と研究会を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
初年度において計画していた以上にインタビュー対象者とのコンタクトを得ることに成功したため、予定を超過して訪問調査を実施した。謝金支出が増加したため、前倒しして研究費の請求を行った。このため計画を調整し、外部委託する予定であったインタビュー文字起こしを研究代表者が行うこととし、人件費支出を抑制することにした。 次年度以降はインタビュー1件あたりの謝金額を見直し、予算執行のバランスを調整していく予定である。海外の研究者との討論会を計画しており、引き続き研究代表者の旅費支出が見込まれるため、文字起こしや翻訳、資料収集などの費用を抑制し、計画に沿った支出額で研究を継続していく予定である。
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