2019 Fiscal Year Research-status Report

1976年から改革開放政策時期までの中国における職業演奏家の研究

Research Project

Project/Area Number	18K00246
Research Institution	Ritsumeikan University
Principal Investigator	長内優美子立命館大学, 理工学部, 非常勤講師 (80645036)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords	改革開放政策 / オーケストラ / 中央楽団 / 中国国家交響楽団 / 中国音楽
Outline of Annual Research Achievements	2019年度において本研究は、当初の計画に沿って、改革開放時期の北京における楽団マネジメント改革についての質的研究を行った。具体的には中央楽団の解散から国家交響楽団の設立、その運営について、2018年度に実施した4名のインタビューを資料と比較対照した分析を行い、立命館大学経済学会セミナーにおいて口頭発表を行い、参加者から指摘やコメントを受けた。それをもとに「立命館経済学」に論文「改革開放政策時期における北京のオーケストラ運営」を公表し、成果を公開した。また、当初計画においては、2019年度は以下3点の調査研究を予定していた。 ①北京において石叔誠氏など中央楽団関係者数人を対象にインタビューを実施すること。②香港・深センに拠点をおく音楽教育者、研究者を対象としてインタビューを実施し、本研究の実施状況について討論し検討と点検を行うこと。③文献・録音・映像資料調査。しかしながら、①、②の訪問調査は外的要因のため計画通りに進めることができなかった。①は2月の春期休暇期間を予定していたが、COVID-19感染拡大防止措置により出入国が制限されたこと、訪問先の大学と楽団が封鎖されたこと等により、訪中することができなかった。そのためウェブサービスやSNSを通じて若干の聞き取りを行った。また②は、2019年6月以降における香港空港および市街地中心部の交通機能の麻痺、治安状況の悪化、大学の混乱等の影響により、中止するほかなかった。③については支障なく進行している。国内・国外の資料（中国語・英語・日本語）を入手し、比較検討をすすめている。 ①、②については、今後の状況に対応し、ウェブサービスやメールなど代替的手段により進行する可能性を検討している。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 2018年度研究の成果公開については、口頭発表・論文公開を通じて予定どおり行った。 2019年度に予定していた調査は、計画どおりに進めることが難しい状況であった。夏季休暇期間に計画していた香港・深セン訪問は、香港空港と中心市街地の交通麻痺と、治安状況の悪化によって中止を余儀なくされた。春季休暇期間に計画していた北京の調査は、COVID-19感染拡大防止措置により出入国が制限され、都市封鎖が行われたことにより計画どおり進めることができなかった。このため2019年度の調査は書籍・論文・雑誌記事、CD・DVDなどの資料収集をもっぱら行い、その検討を進めた。
Strategy for Future Research Activity	本研究の課題である改革開放政策時期のオーケストラ運営について、今後も口述資料を中心に、文献・映像などもあわせて収集し検討していくことを計画している。口述資料の採集手段は面会によるインタビューを企図していたが、今後のCOVID-19感染状況の変化によっては、面会にこだわらずウェブ会議サービスの利用など柔軟に適応していくことになろう。研究計画の最終年度にあたり、学会発表や論文公開などの成果報告も優先的に行っていく予定である。
Causes of Carryover	2018年度において計画以上にインタビュー対象者とのコンタクトに成功したため、予定を超過して訪問調査を実施した。謝金支出が増大したため、前倒しで研究費の請求を行った。このため研究計画内容を調整し、外部委託する予定だったインタビュー文字起こしを研究代表者が行うこととし、人件費支出を抑制した。 2019年は外的要因によって訪問調査を中止したため、旅費・謝金支出はなされていない。このため年度当初計画よりは支出金額が少なくなっているが、2018年度の支出前倒しの影響で次年度使用額が生じている。2020年度は訪問調査旅費と謝金の減少が見込まれているので、計画に沿った支出で研究を継続していくことが可能である。