2018 Fiscal Year Research-status Report
Resolution to Depth: Reconstruct digital images by capturing the structure of analog photographic media
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18K00248
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
安田 暁 福山大学, 人間文化学部, 教授 (00640228)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 銀塩カラーフィルムのデジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銀塩写真メディアの構造と色彩情報の関連性に着目する。完全な2次元のデータであるデジタル写真とは異なり、銀塩写真メディアによる写真には感光層の厚みがあり、この厚みの中にも情報があると仮定。銀塩カラーフィルムをデジタル化する際に、この情報「色彩の厚み」を取得し、デジタル写真表現に組み込む方法の研究開発がこの研究の目的である。また、基本的なシステムはフィルムをデジタルカメラによってシンプルに撮影する方式とし、そこに補器を加えていく形を想定している。 初年度は、銀塩カラーフィルムをデジタル化する基本的なシステムの完成を目指した。 まずシステムの中核となるデジタルカメラおよびレンズのテストをチャートの撮影によって行った。テストには中判デジタルカメラ1台(C1)、35ミリフルサイズデジタルカメラ2台(C2,C3)およびマクロレンズを使用した。本研究では、レンズの開放に近い絞りでの撮影を想定しており、その部分を中心に確認した。結果として、中判デジタルカメラ(C1)とその専用レンズの組み合わせで最も高品質なデータを得られることを確認した。(C2,C3)では、レンズによって開放絞りでは周辺部のシャープネスがやや不足。2段絞り込むことで実用範囲となった。本研究には(C1)が最適と思われるが、適合は今後さらに検討する。 次に、(C1)を中核としつつ汎用性のあるフィルム撮影システムを試作。当初は水平に保持したフィルムを上方から撮影する方法を計画したが、光原、フィルム、撮像面の距離調整の柔軟性などを考慮し、フィルムを垂直に保持し水平方向から撮影するシステムとした。類似の構造を持つ既製品も存在するが、今後の周辺装置組み込みを考慮し、一般材料による試作を行い全体像を確認、検討することができた。また、静電気によるフィルム保持の実験を含め、フィルムを撮影・デジタル化する基本的な構成を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究におけるシステムの主要部分である、フィルムを撮影しデジタル化するシステムの基本部分については予定どおり確認できた。ステップフォーカス装置の関連情報のリサーチを行う予定であったが、撮影システムの試作、導入予定機器の到着タイミングによりこの部分への着手が遅れている。撮影システムの試作に時間がかかった理由には、研究開始前には垂直方向に撮影するシステムを想定していたが、今後の研究進展を考慮し水平方向に変更したということがある。関連して、静電気によるフィルム保持を安定して行うための調整にもやや時間を有した。 また、銀塩写真フィルムのデジタル化の先行関連研究に関する現地調査を予定していたが、次年度以降に延期した。これは、この調査によって得られるであろう情報が必要なのは主として次年度以降であるということを考慮したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れている部分はあるが、研究の基本となるシステムといった主要な部分においては予定どおり確認できており、またより柔軟性のあるシステムとすることができているため、次年度以降問題なく研究を推進できると考えている。関連情報のリサーチについては、フィルム撮影システムへのステップフォーカス装置実装を行いながら、必要部分を見極めつつ同時に進行することを予定している。 ステップフォーカスシステムの実装を含め、撮影システムの完成においては、必要に応じて既製品を採用し組み合わせていくことを検討する。このことでシステム構築のための時間を短縮しつつ研究に必要な機能を充実させ、その運用、画像データのハンドリングに関わる情報をより有効に収集することを狙う。
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Causes of Carryover |
本年度は物品費のみの使用となった。基本システムの試作にかかる費用を抑制しつつ研究を進行したこと、またリサーチ関連旅費の使用がなかったことが、未使用額が生じた主な理由である。 未使用額に関しては、初年度に予定していたリサーチを次年度以降に行うこと、そして基本システムのブラッシュアップに関わる物品購入費、加工費として使用させていただくことを計画している。
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