2019 Fiscal Year Research-status Report
伝統産業の需要分析:九州北部の伝統工芸品に関する計量経済学的アプローチ
Project/Area Number |
18K00249
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
黒木 宏一 九州産業大学, 経済学部, 講師 (00618150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 敏典 九州産業大学, 経済学部, 教授 (10151903)
外園 智史 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (40611570)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 消費者意識調査 / アンケート調査 / 陶磁器産業 / 陶磁器 / 織物 / 家具 / 品質と価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に実施したアンケート調査データを用いた計量分析、及びその他のデータを用いた分析を推進し、概ね以下のような成果を得た。 (1)2018年度に実施した「陶磁器の購買意識に関する調査」のアンケート調査データの解析:成果① 関東、中部、近畿及び九州の地方別分析結果の比較、並びに10年前に筆者らのチームが実施した研究結果との比較を行い、陶磁器の品質と価格についての消費者意識を整理した。特記すべき含意として、「価格が高くても品質が良ければ購入すると思う」との回答は、2009年の調査と今回で「性別」の部分に異なる傾向があることが挙げられる。成果② 世帯の購買行動を担う専業主婦(主夫)に焦点を当てた陶磁器需要の分析から、購買行動が主に「数年1回・それ以下」「割れたとき・消耗したとき」「陶磁器は購入しない」の3つに分類されることを明らかにした。 (2)陶磁器以外の九州北部の伝統工芸品に関する需要分析:われわれは、昨年度より陶磁器産業を中心に研究を進めているが、本年度はこれに加えて「織物」と「家具」の需要分析を試みた。成果③ 家具の価格について、九州北部と南部の消費者意識の特徴を比較検討し、消費者意識を十分に意識した対応の必要性などを指摘した。成果④ 博多織について、九州地域の成人女性の意識調査分析を行い、技術保存のための高付加価値製品、低価格かつ高品質の小物製品、住宅関連企業とのコラボレーションによる製品を、それぞれ生産することが必要であることを指摘した。成果⑤ 久留米絣について、九州地域の成人男女の意識調査分析を行い、潜在需要の存在や既に製品を持っている消費者層を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、2019年度は主に5つの成果を得ており、初年度に引き続き一定の成果を上げることができた。 現在の進捗状況は、交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に照らし、概ね計画通りに進んでいる。よって、本研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度、2019年度の成果を踏まえ、交付申請書に記載の最終年度の研究計画を、着実に遂行したい。具体的には、以下のような研究を進める。 (1)公統計の利用による需要分析:2018年度の成果①について引き続き検討を進め、学会誌等で発表したい。また、日本産陶磁器の輸出、販売の可能性、特に日本国内での需要構造について検討を進め研究成果をまとめたい。 (2)アンケート調査による需要分析:これまでに公表した成果を体系的に整理し、また補強を行い、とりまとめたい。 なお、以上(1)(2)の研究を進めるにあたり、課題研究終了後の研究の発展に資するため、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(2020年1月に、中国からWHOに対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたもの))の世界的大流行が当該産業へ与える影響についても、可能な限り情報収集に努めたい。
|
Causes of Carryover |
本年度は、調査研究旅費や研究補助員人件費等が不要になるなど経費節減が図られた結果、支出を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。次年度は、「8.今後の研究の推進方策」に記載の研究を予定しており、特にこれまでの2年間の研究成果を補強するための調査等を実施する予定である。次年度使用額については、これらの経費に充てて使用する計画である。
|
Research Products
(5 results)