2022 Fiscal Year Annual Research Report
"Autonomy" of savants in the 18th century : what we know from the financial records of the Royal Academy of Science in Paris
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18K00255
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
隠岐 さや香 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60536879)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パリ王立科学アカデミー / 財務会計史料 / 学問の自由 / 学問の自律 / ビュフォン / コンドルセ / ラヴォワジエ / レオミュル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は18世紀フランスにおける科学研究への投資の実態とその思想史的背景について、パリ王立科学アカデミーの財務会計記録資料を中心に調査することであった。 パリ王立科学アカデミー財務会計資料は非常に散逸が激しいが、研究補助者も雇用しつつ、国立文書館、国立図書館、科学アカデミー文書館等で調査した史料の解読と整理を行った。その結果、財政史一般における「パトロネージから官僚制へ」という王侯貴族が気に入った存在に報奨金を与えるという私と公の切れ目がなかった状態が、近代的 な職業的・専門的組織における金銭のやり取りへと制度化されていく過程と類似した過程が確認された。ただしそれは「パトロネージから公共的な学術投資へ」のように要約するのが望ましいものであった。科学アカデミーの歴史は公的資金を学術あるいは学者個人に投資するという制度の生成過程として位置付けることが可能である。これらの成果は既に複数の論文、一般書の一部として公開されている。なかでもフランス革命誌研究の重要誌であるAnnales historiques de la de la Revolution francaiseにフランス語論文を投稿したこと、また、ドイツ現代史学会で招待講演を受けたことは重要な成果であった。 令和4年度には、新型コロナウィルス感染症により延期されていたフランスのパリ第一大学(パンテオン・ソルボンヌ)での公開セミナーと講義を行った。また、ドイツ現代史学会での招待講演記録を『ゲシヒテ』誌に投稿するため執筆した。
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Research Products
(4 results)