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2020 Fiscal Year Annual Research Report

ガリレオの「新しい自然学」に関する総合的歴史研究

Research Project

Project/Area Number 18K00256
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

伊藤 和行  京都大学, 文学研究科, 教授 (60273421)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords科学革命 / ガリレオ・ガリレイ / 望遠鏡 / 太陽中心説 / 『世界系対話』 / 慣性法則 / 重さ / 新しい自然学
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、近代科学の創始者の一人であるガリレオ・ガリレイの科学的活動に関して、総合的な視点から考察した。とくに彼の天文学研究と力学研究を統合的な視点から検討し、宇宙論の変革と自然研究の方法的革新がどのような関係の下でなされたのかを考察した。天文観測と運動論という二つの分野に関して1610年代の『星界の報告』・『太陽黒点論』から1630年代の『世界系対話』・『新科学論議』までを一貫した観点から検討することを通じて、彼の「新しい自然学」の形成過程を考察した。
最終年度は、望遠鏡による天体観測から得られた経験的情報とその理論的解釈という自然研究の方法に関わる問題について考察を行っている。彼は、天文学者とも哲学者とも異なり、天上界の現象に関して地上の現象とのアナロジーを用いて「合理的」な説明を提供しようと試みていた。さらに、主著『世界系対話』における運動論では、地上界と天上界の現象に関して共通の運動法則を探究し、研究方法を適用しようとしており、その結果として慣性法則が両世界に適用されているが、その一方で新しい「重さ」の概念を必要としていたのである(「ガリレオにおける重さの概念」)。
本研究を通じて、ガリレオの天文観測と宇宙論、そして運動論は密接な関係の下で発展していたことが明らかになった。望遠鏡による天体観測の知見は太陽中心的宇宙論の構築と密接に結びついていたが、その過程では、望遠鏡が提供する新しい知見に基づきつつ、地上世界と天上世界の両世界を共通の方法で探究しようという彼の新しい自然研究の方法が展開されていた。さらに新しい宇宙論は新しい運動論を必要としていた。地上世界と天上世界の両世界に適用できる運動法則の探究こそ彼の「新しい自然学」の要であったのであり、「重さ」のような基本概念の改鋳が不可欠だったことが明らかになった。

Remarks

「ガリレオにおける重さの概念」、『第67回年会研究発表講演要旨集』、日本科学史学会発行、2020、p.25。
(第67回(2020年度)年会中止に伴う発表代償措置)

URL: 

Published: 2021-12-27  

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