2018 Fiscal Year Research-status Report
Integrated Studies of History and Natural Science for Exploring the Change of the Iron Manufacture Technique from the Late Edo to Meiji Period
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18K00261
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| Research Institution | Saga University |
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Principal Investigator |
脇田 久伸 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 研究員 (50078581)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 淳也 別府大学, 文学部, 准教授 (10550494)
栗崎 敏 福岡大学, 理学部, 准教授 (20268973)
桃崎 祐輔 福岡大学, 人文学部, 教授 (60323218)
沼子 千弥 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (80284280)
米津 幸太郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90552208)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | アームストロング砲・砲弾 / 製鉄原料・砂鉄 / 原料産地同定 / 地質地域依存性 / ICPーMS / 可搬型蛍光X線分析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
自然科学分析班（脇田・栗崎・沼子・横山（研究協力者））は幕末から明治期にかけて奥出雲地方で砂鉄を収集したと考えられる露頭計10地点で分析資料を採集した。採集地点は花崗岩質、花崗閃緑岩質、斑レイ岩質に分かれる。採集した土壌から砂鉄を抽出しICP-MSで分析することで極微量の希土類元素の分配パターンを作成した。希土類元素の中で異なる酸化数を持つCeとEuのパターンに注目すると3つのパターンに分類できた。この分類から奥出雲の砂鉄の希土類元素パターンは地質図上の地質だけでなく採集地点のより詳細な地域性を示す可能性が示唆された。この結果から佐賀藩大砲などを鋳造した鉄原料と考えられる砂鉄の産地特定はより詳細になると期待される。さらに新たに佐賀で見出された鉄製砲弾について可搬型蛍光Ｘ線装置で組成の分析を行った。
一方、史学・考古学班（桃崎・上野）には脇田も加わり戊辰戦争勃発時に鳥羽・伏見で発射された砲弾の探索を行った。その結果伏見の御香宮神社で保管されている鉄製砲弾を見出しその外形等の調査を行った。また鳥羽の妙教寺には4斤山砲の砲弾とみられる椎実型砲弾が保管されていることを突き止めた。さらに上野班員はアームストロング砲の原材料に関する文献調査を行い、 江戸初期後装砲の原材料の産地推定調査を行った。その結果、英国、カナダ、ニュージーランドにアームストロング砲が残っていることが判明した。とくにイギリスには当時のアームストロング社が用いたと思われる鉄鉱石跡があることが判明し、現在、調査可能性を先方に打診中である。また、桃崎班員は幕末期の鉄原料が輸入鉄である場合、想定されている中国産鉄条材の入手可能性を探っている。特に中国に在外研究員として一年間滞在した桃崎は中国沈船等に積載された鉄条材と日本の棒状鉄素材の比較研究に着手して今後の本研究への進展を図った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほとんど予定どおり順調に進展している。今年度は予定通り奥出雲にて島根大学大平寛人先生と奥出雲町教育委員会高尾昭浩氏も同行して頂き砂鉄の調査・採集を行った。採取・抽出した砂鉄資料は米津班員の九州大学のICP-MS分析装置で測定し、解析も順調に行えた。その結果非常に興味ある結論を得た。ただ、代表者の脇田が心臓疾患で一か月入院したこと、史学班連携研究者の長野暹氏が逝去されたことで一時期ペースダウンとなった。しかし脇田は退院後完全に復調し、また史学班は佐賀大学青木歳幸名誉教授がサポートしてくれることになり本研究の人員体制が整った。その結果、その後は順調に調査、分析、ならびに解析が行えた。
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| Strategy for Future Research Activity |
自然科学分析班（脇田・栗崎・沼子・横山（研究協力者））は今年度も奥出雲にて砂鉄資料採取を目指す。即ち、今年度も島根大学大平寛人先生と奥出雲町教育委員会高尾昭浩氏に同行して頂き砂鉄の調査・採取を行う。採取・抽出した砂鉄資料は米津班員の九州大学のICP-MS分析装置で測定し、解析を行う。砂鉄含有希土類元素の産地比較をめざして、また、大砲・砲弾遺物の自然科学分析結果との比較を行うため史学・考古学班の桃崎が九州内とくに福岡・佐賀藩における砂鉄採取遺跡の調査を行うとともに砂鉄採取も行い自然科学班が採取資料の科学分析を行う。新たに佐賀で見出された鉄製砲弾の蛍光Ｘ線測定結果の解析を行う。伏見の御香宮神社で保管されている鉄製砲弾と鳥羽の妙教寺の4斤山砲の椎実型砲弾の自然科学分析、特に可搬型蛍光X線分析の可能性を保管側と折衝し、可能であれば分析を行う。
一方、史学・考古学班の上野は世界に保管されているアームストロング砲とその砲弾及びそれらの原材料に関する文献調査を引き続き行う。とくにイギリスのアームストロング社があったニューカッスルで当時製鉄原材料として用いた鉄鉱石の跡地において鉄鉱石採取が可能かどうか先方に引き続き打診する。可能であれば現地にて調査・採取を行う。さらにニュージーランドに保管されているアームストロング砲についても同様の打診を引き続き行う。可能ならば現地にて調査を行う。また、桃崎班員は在外研究員として一年間滞在した中国にて共同研究の端緒をつかんだことで中国沈船等に積載された鉄条材と日本の棒状鉄素材の比較研究に着手し本研究への進展を図る。
本研究の成果は2019年8月に内モンゴル師範大学にて開催されるISHIK2019にて口頭発表を行うとともにISHIK2019のProceedingsへの投稿を行う。
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| Causes of Carryover |
上野班員と桃崎班員がそでぞれ次年度に国外における調査旅行を計画しているためである。また、米津班員は次年度における九州大学のICP-MS装置の測定使用料（ガス代金）に充てるためである。
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Research Products
(9 results)
