2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00262
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| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
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Principal Investigator |
福士 由紀 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (60581288)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 中国 / 結核 / 歴史 / 暮らし |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、1920～40年代の中国における結核の流行状況を示す史料および結核問題に関する医学雑誌等の論文、新聞雑誌記事などの史料の収集および分析を行った。その結果、以下の知見を得た。
①当該時期の中国における全国レベルの結核患者数、死亡者数などの具体的数値の把握は困難であるが、一部地域では、時期は限定的ではあるが一定程度の数値データが存在し、地域における流行状況が一定程度把握可能であることがわかった。②結核をめぐる医学者・関係者の言説の分析からは、1930年代には中国においても、結核は大きな社会問題としてとらえられていたこと、都市と農村を比較した場合、都市部ではより重大な問題として考えられていたことが把握できた。③一方で、一部農村においては都市部同様に、あるいは都市部よりも深刻に結核問題があり得たことも指摘できる。河北省定県における死因調査や結核感染状況調査からは、結核が主要な死因の一つであったことがわかった。また当時の専門家の言説および当該時期の農村実態調査などからは、農村部での結核の普及の一因として、徒弟制度や出稼ぎ労働といった労働慣行があり、こうした労働移動をもたらす農村地域の景気変動も、結核問題を考察する際に重要であることがわかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、大学内外での業務が多忙であったため、海外の史料所蔵機関での史料調査収集を行えなかったが、その一方で国内所蔵の史料を効率良く収集・分析することができたため、全体としては順調に研究を進展させることができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初予定していた北京・上海・台湾などでの史料調査を行い、20世紀前半の中国における結核をめぐる議論や実態の解明を行う。その上で、中国の「近代」と人びとの身体・健康との関係について、結核を素材として考察を深めていきたい。また、これと同時に、文学作品、広告資料などの中での結核患者や家族の描写のされ方にも着目する。更に、20世紀前半の中国の社会経済的変化についても、関連研究を通して理解を深める。
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| Causes of Carryover |
2018年度は、研究以外の学内外の業務が多忙であったため、予定していた海外での史料調査を行うことができず、次年度使用額が生じた。2019年度に、北京、台北で史料調査を行うための費用として使用する計画である。
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