2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Discovery and Utilization of Modern Industrial Heritage: Transfer, Transformation, and Development of Nishijin Weaving Technology
Project/Area Number |
18K00263
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
藤野 靖子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (50363966)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代産業遺産 / 西陣織 / 織物技術 / 織物組織構造 / 織物産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は想定外のコロナ禍により、研究を1年延長し、3年目から視点を変えて新たなプロセスを開始した。様々な織物技術に関する機械や施設を調査に出かけることができなくなったため、令和2年度より、現存する明治期の「裂」資料を収集し、これらを近代産業遺産として研究を進めた。 本年度は具体的に2つの研究を行った。 1つ目は、「裂」の織物組織構造を解明し、新たなプロダクトへと発展できる情報への再構築するための研究である。実践的に有用なデジタルデータとするために、経糸と緯糸の重なりを正確に表すことができるよう、深度合成顕微画像や深度合成による3次元画像でのデータ化を試みた。様々に実験を繰り返した結果、この手法によって、これまで困難であった織物の組織構造を理解することができる画像データの作成に確信を得た。立体物である織物の糸の重なりをデータ化できるこの研究成果は、織物データベース作成への大きな前進となった。 2つ目は、「裂」からさかのぼって技術、生産機械やシステムを明らかにするという、研究手法の開発とその可能性の検証である。素材や色料の分析などは専門的な機械がないこともあり困難であったが、「裂」をどのように製織するかの調査は、その過程で多くの知識や知見の断片が結合し、領域横断的に広がりを獲得することがわかった。結果として、1枚も「裂」からさかのぼっていく研究手法は、本研究の目的であった、新たなプロダクトコミュニティーの形成に非常に有効であるという知見を得た。
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