2021 Fiscal Year Annual Research Report
On the Background Ideas of Modern Western Medical Education Curriculum: A Bibliographic Survey and Analysis
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18K00265
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
澤井 直 順天堂大学, 医学部, 助教 (40407268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医学学習指南書 / マルティン・シュタインペイス / イァコブス・シルヴィウス / イァヌス・コルナリウス / フアン・ルイス・ヴィヴェス / 医学教育論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は(1)16世紀前半の医学学習指南書の内容の分析、(2)16世紀の非医学者による医学教育論の文献調査・内容分析を行なった。 (1)に関しては、3冊の医学学習指南書においてどのような医書が学習用に推奨されたかを検討した。シュタインペイス『医学における学習と読解のため方法について』(1520)は、5年間の医学生時代に学ぶべきことの概要を説明し、具体的な著者名や署名を挙げている。その内容は当時のウィーン大学の教育カリキュラムが反映され、中世ヨーロッパの医学部で使用されていた、アヴィケンナ『医学典範』や教科書集『アルティセラ』が中心となっていた。学生には中世の教育と同様の書物からの学習を勧めるが、新米の医師には出版されたばかりの医書での学習も推奨していた。 イァコブス・シルヴィウスの『ヒッポクラテスとガレノスの著作を読む順序とその順序の理由』(1541)はヒッポクラテスとガレノスの全著作を生理、養生、病理、治療へ分類し、それぞれの分野で読む順序を提示していた。さらに、彼らの後代の著作を見るべきだとし、ギリシア、アラビア、ローマの医師や時代の近い医師の名も挙げている。 イァヌス・コルナリウスは正しい医学学習に関する演説を行い、それが1543年に『医学の正しい学習について』として出版された。コルナリウスは、アラビアの医師をギリシアの医学者の知識を誤って解釈し、余計なものを加えたとして強く批判し、ガレノスとヒッポクラテスなどの古代の著作を読むことを推奨する。しかし、演説に基づく書籍であるためと考えられるが、具体的な書名についての言及はなかった。 (2)に関しては、フアン・ルイス・ヴィヴェスの『学問論』(1531)を分析し、非医師であるヴィヴェスは社会で求められる医師のあり方や姿勢を提示し、医学者による学習指南書とは異なる視点で論じていることを見出した。
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