2019 Fiscal Year Research-status Report
日本における予防接種の「副反応」をめぐる議論と法制度の歴史社会学的研究
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18K00267
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
香西 豊子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (30507819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 予防接種 / 副反応 / 法制度 / 歴史 / 種痘 / リスク / 生命倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の第二年度にあたる2019年度には、種痘を全国民に強制する法制度が日本に敷かれるにいたる経緯を検証した。 明治初年以降、日本では、種痘を全人口に強制する法制度が整備され、東京府から段階的に全国で施行されはじめる。そして、政府関係者の欧州(ドイツ・オランダ)の視察以来、法制度の強制の度合いはしだいに高められ、ワクチンの製造技術も改良される。 2019年度には、この間の制度的・技術的改変を、当該機関作成の文書から探るとともに、政府関係者の視察を契機に欧州のどのような法制度が選択的に日本に導入されたか、また導入に際しては医学や政治・教育の領域でどのような議論がおきたかを、関連書籍や医学雑誌・公文書・行政当局作成の報告書に探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究が、当初の計画以上に進展していたため、今年度上半期は、予定よりも範囲・深度をひろげて関連する資料の収集・読解に当たることができた。しかし、下半期になり、過年度の研究成果を公開(学術図書の出版)するための作業が断続的にはいったり、国外調査の予定が変更になったりしたため、研究スケジュールを一部組み換え、来年度に予定していた単発的な作業を先取りしておこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年は、①昨第二年度に積み残しとなった課題(国外調査を含む)を、再度、研究の目的に照らして選択的にスケジュールし直したうえで、当初の第三年度の研究課題を行うとともに、②年度末には、3年間の研究の成果をとりまとめ、学術論文として公開する。 なお、現行の研究課題を完遂するには、国外の資料調査が必須であるが、状況によってはこれを行えない可能性がある。その場合には、研究の焦点を、ひとまず国内で資料にアクセスできる事項に絞りこみ、研究目的の達成をめざす。
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