2022 Fiscal Year Annual Research Report
The dynamic change survey and the theory of mutualrelationship between military and nonmilitary scientific research at war-related period in Japan
Project/Area Number |
18K00271
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
河村 豊 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 嘱託教授 (10369944)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争と科学者 / 電波兵器開発 / 殺人光線 / 科学者動員 / 戦時科学史 / 両用技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)実証研究の成果:延期していた資料調査として,広島県呉市海事歴史科学館所蔵の旧海軍電気研究部資料の内,未調査であった物理学者・菊池正士が関与した資料(統進資料に含まれる「反射防止打合せ会」などの議事資料および「昭和19年度実施経過概要」などの開発内容報告)を分析し,①兵器開発の方針についての意志決定に関与する行動および上層部からの要求がここでも見つからなかったこと,②殺人光線開発(「Z研究」と記入されたもの)について,海軍艦政本部への実施経過報告が,計画実施から約1年半後の1944年3月になっておこなわれ,他の電波探針儀類の兵器と同列に扱われながらも,具体的な内容に一切触れていないものだったことが確認できた.また,英米での同時期の科学者の戦時政策・軍事戦略への関与について,H.TizardやV.Bushらの事例調査から,日本の場合は英米とは異なり,政府の委員会や軍組織での科学者の地位の低さ等から,戦時中の主要な意志決定にほとんど関与できなかったことも確認できた. (2)理論研究の成果:両用技術のルーツは,軍事技術に含まれる通信・偵察・探査・誘導などの業務に特化した装置類(非兵器軍事技術とも呼ばれる)の拡大に始まること,および,電波兵器などの装置開発においては当時の原子核分野の物理学者などの民生部門由来の知識との強い親和性,にあったことが,近年の軍事技術開発に関わる研究成果から確認できた.さらに第2次世界大戦での大規模な総力戦があったことを加えて分析すると,電波兵器開発に代表される科学者の兵器開発は,民間部門の軍事部門への取り込みを,戦時中の動員制度が短期間での加速,拡大をもたらし,科学者の取り込みが軍事技術の新たな開発法であるとの経験則は,戦後にも引き継がれる可能性を高めた.
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Research Products
(3 results)