2018 Fiscal Year Research-status Report
事例研究と連携させた1970年代以降の日本現代ミステリ史の構築
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18K00272
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押野 武志 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70270030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横濱 雄二 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (40582705)
諸岡 卓真 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (40528246)
井上 貴翔 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (70770551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミステリ / 地域コンテンツ / メディアミックス / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究は、1970年代以降今日までの日本のミステリの特質を、他ジャンルの文学との関係だけでなく、映画をはじめとする視覚メディアとの錯綜した交渉関係にも着目しながら分析する史的研究である。70年代から本格化し、今日に至るメディアミックスとして展開するミステリの特性を踏まえつつ、謎の生成をジャンルに内在する言語芸術の可能性の追求と捉える観点も導入し、純文学、幻想文学、SFといった周辺のジャンルを取り込んだ、総合的な現代ミステリ史の構築という課題に取り組む。それと並行して、北海道に特化した地域コンテンツとしてのミステリの特質を共通の事例研究として明らかにする。70年代以降のツーリズムとトラベルミステリの成立との相関性、ミステリの虚構化の方法と風土との関連性など、ミステリと北海道を接続させることで、社会学・観光学・歴史学などとも交錯する文化史研究へと発展させる。
現代ミステリの特質をジャンル内部の事象だけに着目して分析するのではなく、純文学・SF・ライトノベル・映画・漫画・アニメといった対象の脱領域性によって明らかにし、1970年から現代までを視野に入れた巨視的で通史的な文化研究となった。北海道を具体的事象の一例としてミステリ研究とミステリ概念の変容との相即的関係を同時代言説との関係性において明らかにする言説分析でもあり、歴史学や社会学、観光学などの隣接学問の研究成果を取り込むことができた。語り論や虚構理論など、これまでの文学研究の蓄積を応用しつつも、文学研究の対象を同じ方法を用いて単に広げるだけでなく、ジャンルやメディアの特性をも明らかにするメディア研究、映像研究を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づき、本共同研究の第1回会合として、研究報告会を開催することができた。本共同研究の目的を踏まえた今年度の研究計画の実施状況や各自の研究成果を報告し合い、さらに、来年度に向けて共同研究全体についての方向性や国際シンポジウムの企画について討議することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
1970年代以降今日に至るミステリと他ジャンルとメディアとの相互交渉史を段階的に新しい方法論によって分析すると同時に、明確なパースペクティブから、他ジャンルとの交渉関係を踏まえ、同時代言説とメディアとの相互葛藤的なミステリ史記述を目指す。その目的のため、以下の3点に焦点を絞りながら研究をすすめていく。 ⅰ.ジャンルの再定義と分析概念の精緻化/評論と文学研究との往還 ⅱ.地域コンテンツとしてのミステリ/北海道を対象にした事例研究 ⅲ.体系的な文学史の構築/70年代以降の現代ミステリの展開
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Causes of Carryover |
研究分担者のひとりが年度末に発注した図書の納期が間に合わずに生じた残金である。その研究分担者の翌年度の物品費として繰り越し利用したい。
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Research Products
(3 results)