2020 Fiscal Year Research-status Report
柳田国男の表現構造がもつ現代的意義の発掘―言語観・文章構成・同時代状況への関与―
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18K00285
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
宮崎 靖士 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (10438351)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 柳田国男 / 言語観 / 文章構成 / 同時代状況 / 『先祖の話』 / 現代的意義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、コロナ禍の影響により調査出張を行うことができず、当初の研究計画を完遂することができなかった。調査出張については、2020年の当初(2019年度の終わり)より実施できておらず、本研究計画の重要な部分がいまだ実行できていない状態である。しかし、そのような状況でも可能な範囲で本研究をすすめる方途を検討し、その結果、現段階までに調査した資料で可能な範囲の論考を作成し、それを今後の研究推進のステップとすることを2020年度においては選択した。 具体的には、柳田国男が1946年に発表した『先祖の話』を対象とし、それを表現論の観点から分析しつつ、同時に同時代状況との関連をも視野にいれることから、テキストの価値と可能性を発掘するという作業に従事した。表現に関しては、特にテキストの構成と文体の特質に注目し、同時代状況については、特に「神道指令」に代表される神道に対する諸政策と、旧家族制度をめぐる民法改正に関わる動向に注目した。そのような検討の過程では、2019年度後半までに行った資料調査の結果も反映させることができるように努めた。特に文献資料への柳田のスタンス、および柳田における基本的な言語観にもとづき『先祖の話』の基本性格を理解するという点で、19年度までの資料調査は有益であった。 この『先祖の話』に関する論考は、既に発表先を決定しており、2021年度の9~10月ころには公表できる予定である。この論考で得られた新たな知見と視座をもとりこみながら、2021年度においては本研究を完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の理由は、2020年度において、コロナ禍の影響により調査出張を行うことができず、当初の研究計画を完遂することができなかったことである。調査出張については、2020年の当初(2019年度の終わり)より実施できておらず、本研究計画の重要な部分がいまだ実行できていない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては、当初の研究計画にある資料調査出張をできる場合とできない場合の双方を想定して研究を推進していく。調査出張ができない場合は、2020年度に実施した『先祖の話』に関する論考作成のような方法が有効だと考える。コロナ禍の終息については見通しがつかない状況であるが、随時調査出張の可否を見極めつつ、遅くとも今年度半ばまでには、本研究の最終的な着地点を決定し、研究の完成を果たす予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度において、当初予定していた調査出張がコロナ禍の影響で実施できず、研究期間を延長したため。
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