2018 Fiscal Year Research-status Report
守覚法親王の蔵書から見る中国典籍文化の日本中世文化への影響に関する実証的研究
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18K00302
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
池田 昌広 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (70633288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 往生要集外典抄 / 資治通鑑 / 文選 / 李善注 / 節本 |
Outline of Annual Research Achievements |
平基親『往生要集外典抄』(以下、『外典抄』)の出典調査をおこなった。『外典抄』には、漢籍原典からとは考えにくい外典の引用が見られる。本研究はその典拠を調査した。『外典抄』が施注する『往生要集』の文章はつごう29条。これに『外典抄』は種々の漢籍外典を引用している。調査の結果、まず『文選』李善注からの組織的引用があることが明らかになった。李善注の誤記まで踏襲しており、これは確実である。『外典抄』の作成に参照引用された漢籍は、少なからず守覚法親王の蔵書と推量される。ただ、なお直接の典拠が明白でないものが残り、いっそうの調査が必要である。 古代中世日本における漢籍史書の受容について通史を執筆した。その一部には中世日本の中国史書の閲読史がふくまれる。本論文は、正史なかんずく三史が重視された古代から、『資治通鑑』およびその関連書が読まれるようになる中世への変化を論じ、それが中国の史学思想の動向と連動していることを明らかにしたものである。くだんの『資治通鑑』の関連書が中国で流行するのは南宋以降のことであり、それは当時の出版業の成長によって、各種の『資治通鑑』関連書(とくに『資治通鑑』節本=ダイジェスト本)が印刷出版された影響だが、これが日本にまで及んだことを論じている。これは本研究が追及している南宋(および元)の印刷出版文化の日本への影響を「中国史書」を例に実証したということである。本論文は近日、中国で刊行予定の『日中文化交流史叢書』(全10巻)の「書籍交流」巻の一部として公刊される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『外典抄』の典拠をすべて明らかにすることは、現存文献しか手にしえない研究代表者には限界があるものの、類書の編纂史に関する知識を応用し、一定の成果をあげられるはずである。
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Strategy for Future Research Activity |
南宋の出版文化の影響について、中国史書を例に論じたが、じつは史書は中国の歴代王朝が輸出を制限した種類の書である。これがなにゆえ、かくも大量に日本に舶載されたか、書禁の弛緩という視点で論じることを計画している。
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