2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00306
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
日高 愛子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20706741)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近世 / 九州 / 歌壇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、資料調査等の研究活動が実施できなかった。これまでの調査等によって得られた研究成果についてまとめたほか、近世肥後歌壇に関する資料を入手し、資料紹介としてまとめた。 2022年2月に刊行した著書のなかに、「近世前期における地方歌壇との関わり」として、近世前期の佐賀藩およびその支藩と飛鳥井家との文化的交流についてまとめ、また「近世後期の堂上派地方歌壇の展開」として、近世後期に鹿児島垂水の地で堂上歌人の影響を受けて興隆した文化圏の様相についてまとめた。 また、肥後熊本藩主細川治年の末女、就(久我美子)が文化6年に桂離宮を拝観した際の紀行文『桂能里の紀行』の自筆本を入手し、従来知られていた熊本県立図書館の写本および『女鑑』第192号掲載本文との異同も含めて、註釈付きで翻刻紹介した。『桂能里の紀行』の冒頭には幽斎二百回忌を迎えること、そのために幽斎の御影が掲げられる桂離宮の園林堂を拝観することなどが語られており、「幽斎二百回忌追悼和歌」など、近世中期から後期にかけての堂上における幽斎の受容を考えるうえでも重要な資料である。 本年度はこれに加えて、就(美子)の没後に編まれた歌集『桜木集』の版本1部を入手し、本文データを作成した。今後、その内容を更に精査し、註釈を付して紹介する予定である。 なお、昨年度から準備をしていた鹿児島県垂水市の手貫神社に所蔵される幕末期の奉納和歌28点をまとまた資料集については、打ち合わせ等が進まず、形にできなかったため、次年度にまとめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、当初予定していた資料調査等の研究活動が実施できず、また昨年度から予定していた資料集を完成できなかったことなどから、当初の計画からやや遅れていると判断し、研究期間を延長した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については当初予定していた内容から特に大きな変更はない。これまで実施できなかった資料調査を進めていきたい。また本年度にまとめることができなかった資料集を完成させる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響もあり、資料調査や打ち合わせなどが実施できなかったために、旅費などの執行額がなくなり、次年度使用額が生じた。次年度では、資料調査や資料集をまとめるための印刷費などに使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)