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2023 Fiscal Year Research-status Report

江戸明治期漢文笑話集の訳読と研究―江戸後期から明治初期の漢文笑話集を中心に―

Research Project

Project/Area Number 18K00313
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

磯部 祐子  富山大学, 大学本部, 理事・副学長 (00161696)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2025-03-31
Keywords漢文笑話 / 江戸時代 / 訳読 / 落語の興行 / 漢籍受容
Outline of Annual Research Achievements

本年は、これまで読み解いてきた江戸の漢文笑話『前戯録』『善謔随譯』『善謔随譯續編』『笑堂福聚』『笑門』『へん譚』『譯準笑話』の文化的背景を考察することに主眼を置いた。また、漢文笑話における「笑い」の特徴を見るため、文化事象との関わりについて分析を加えた。
ところで、江戸の漢文笑話隆盛の背景には、藩校や私塾の増加による「教育爆発」の時代とも言われるように、漢文学習者そのものの裾野の広がりがあったこと、また、寛政期ごろ、江戸においては落語が流行するなど「笑い」受容の環境が醸成されていったことがあげられる。いわば、江戸期漢文笑話は学びの層の変化拡大および笑いを享受する時代がもたらした文化事象の一つともいえる。
それゆえ、中央の儒者山本北山(『笑堂福聚』)や、地方の儒者津坂東陽(『譯準笑話』)、文人寺崎れい洲(『へん譚』)などは、明らかに漢文教育と笑いの享受という両面から、漢文笑話の創作と出版に着手した。また、それらの書は、作者の周辺のみならず、遠地の知人にも贈呈するなど、全国的な広まりも見出すことができた。例えば、『へん譚』は、江戸の大槻玄沢に送ったことが知られる一方で、加賀藩・佐渡養順などの医師など(金沢市立玉川図書館蒼龍館蔵書)も読んでいたことが知られている。
しかし、実際に、藩校の祭酒等は、漢文笑話に関心をもったのかといえば、富山藩の祭酒・市河寛斎は山本北山とともに清新性霊派の流れにあり、寺崎れい洲等と同時期に越中にいたが、市河寛斎の作品において笑いの要素を探し出すことは極めて難しい。漢文笑話への関わりは、それぞれの個性の差が大きく反映するものであった。
本年は、漢文笑話の文化的背景を探るために、富山藩校教授として二〇年在職した寛斎の遺稿を紐解きながら、交友関係や日々の生活を読み解き、漢文笑話の周辺について検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

漢文笑話集の訳読に基づく作品研究は順調に進んでおり、当該年度も2本の論文を発表した。ただ、コロナウイルスの感染拡大により、予定していた国内外の図書館等における版本調査については、今後コロナ禍の状況を見ながら実施することにした。

Strategy for Future Research Activity

既に訳読及び小咄との比較考察を終えた漢文笑話テキストについて、今後も公表していく。同時に、未考察の漢文テキストの訳読を継続して行う。

Causes of Carryover

コロナウイルス感染拡大への警戒から、本来予定していた海外国際学会が取りやめとなったことが、使用額を繰り越す主な理由である。次年度は、コロナウイルスの状況を見ながら、学会発表および海外(台湾)における漢文笑話版本の調査について実施したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] 市河寛斎の詠んだ富山(二)2024

    • Author(s)
      磯部祐子
    • Journal Title

      富山大学人文学科学研究

      Volume: 第80号 Pages: 272-316

    • Open Access
  • [Journal Article] 市河寛斎の詠んだ富山(一)2023

    • Author(s)
      磯部祐子
    • Journal Title

      富山大学人文学科学研究

      Volume: 第79号 Pages: 179-208

    • Open Access

URL: 

Published: 2024-12-25  

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