2019 Fiscal Year Research-status Report
書籍広告を資料とした近世・近代移行期の書籍流通についての研究
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18K00328
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊幸 中央大学, 文学部, 教授 (00216417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 書籍流通 / 新聞・雑誌流通 / 書籍文化史 / 兎屋誠 |
Outline of Annual Research Achievements |
各地域における書籍安売りの状況を把握するために、明治18年から21年の4年間を対象に、各地で発行された新聞から書籍安売りの広告を収集して、定型のデータとして入力し蓄積する作業を継続した。当該年度対象とした新聞は、「信陽日報」「防長新聞」「佐賀新聞」「普通新聞」「高知日報」「熊本新聞」「紫溟新報」「鎮西日報」「海南新聞」「北海新聞」等である。これについては、年月日、広告主、掲載紙、広告記事等、さまざまな要素から検索できるようなフォームを採用しており、安売り に関わった業者の傾向、すなわち、業者の本拠と安売りを広告した地域の偏差や、時期的な推移を抽出できるようにしてあること前年度と同様である。また、どの書店がどのような新聞にどういう時期に広告を出したか一覧できるように、地域単位、書店別のデータも同時進行で制作している。両者を相互に参照し合うことで広告文や広告内容の影響関係の考察についても有益なデータベースになってきている。 また、新聞・雑誌の流通網の形成の過程と従来の書籍流通網との関係を把握するために、上記新聞より、新聞売捌店の広告記事を収集し、地域単位でデータを蓄積する作業も継続している。これに関しては、可能な限り、明治17年以前の記事も対象とした。 上記二つの研究を補完するために、書籍安売りや新聞売捌店の引札や、新興書店の関与した書籍・雑誌類についての資料収集を継続した。また、領収証等購読者・購入者の側に残った資料についても収集を継続した。従来よりデータの蓄積を継続している書籍流通末端業者についても、諸書を渉猟し、データを補完した。 さらに、各地で行われるようになった出張販売の実態についても、収集した新聞広告や引札等によって、具体的な事例を数多く発掘、かなりの程度把握できるようになった。 また各地の所蔵機関における新聞等資料の所蔵状況を調査し、今後の調査計画を練り直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初計画していた調査対象とは若干異なるが、資料収集点数は、当初の見込みを若干上回っている。 ただし、年度末、国立国会図書館をはじめ、各地の機関を利用できない事態となり、研究計画を変更せざるをえなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ調査すべき資料が多く各地の機関に残っており、これらについての調査を、諸状況の推移を見ながら行う予定である。また、これまで蓄積してきたデータ、知見に基づいて、研究発表を行い、論文を作成する予定である。
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Research Products
(4 results)