2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on book circulation in the period of transition from the early modern period to the modern period based on book advertisements
Project/Area Number |
18K00328
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊幸 中央大学, 文学部, 教授 (00216417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 書籍文化史 / 新聞広告 / 書籍安売り / 新聞売捌店 / 書籍流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治10年代後半から20年代初頭にかけて、書籍流通の世界は大きく変動する。江戸時代から営業を続けてきた老舗が次々と店を閉め、明治になって新たに開業した書店が多数を占めるようになってくる。現象的にその交代劇に大きく作用したと見なされるのが、明治十年代中頃から展開してくる予約出版とそれが下火になって流行し始める書籍安売競争であった。書物類の高価に経営を依存していた旧来の商売は通用しなくなるのである。この二つの現象は、増大してくる新聞読者を対象にして新聞広告を効果的に利用したところが共通している。また、新聞流通に関与していた業者が書籍流通に参与し始めて安売りを行う事例も多々確認できる。つまり、発達していく新聞流通網が書籍流通を複線化していく過程と重なるのである。 この間の全国各地における書籍流通の変化と、新聞流通網の発達との相関を確認すべく、本研究においては、引札や雑誌類の広告の収集とともに、地方新聞を含む諸新聞の調査を網羅的に行い、その広告を収集した。それを基に「明治前期新聞販売店総覧」を制作し、併せて「書籍安売広告.csv」というデータベースを作成した。この2ファイルは、年度末に研究者等に配布し、前者については一般公開している。これら調査データに基づき「脩道館補説」(『紀要 言語・文学・文化(中央大学文学部)』125号、2020年)・「東京書肆の書籍安売―正札屋・鶴声社・金桜堂と兎屋(同127号、2021年)・「小学校令期東山梨郡における教科書類の流通」(『書物・出版と社会変容』27号、同年)・「兎屋の書籍出張販売」(『紀要 言語・文学・文化』129号、2022年)・「大阪兎屋支店と横山帯川堂」(『書物・出版と社会変容』29号、同年)等の論文を制作し公表した。
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Research Products
(5 results)