2021 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between various books of Taiheiki and literature, politics, and society during Nanboku-cho and Muromachi era
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18K00331
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小秋元 段 法政大学, 文学部, 教授 (30281554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 昌幸 関西学院大学, 文学部, 教授 (20411770)
和田 琢磨 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40366993)
森田 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (90611591)
大坪 亮介 大阪大谷大学, 文学部, 講師 (10713117)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 太平記 |
Outline of Annual Research Achievements |
「『太平記』の諸本展開と南北朝・室町の文芸・政治・社会」と題する本研究は、『太平記』の本文流動の動態をとらえ、それを促す背景を究明することを目的とする。すなわち、個々の伝本の本文のもつ独自性に着目し、それを生みだすメカニズムを、一つは、作品成立期である南北朝期の政治状況との関わりから、もう一つは、流布期にあたる室町期の享受・書写圏の文学・文化・社会的環境との関わりから明らかにすることをめざしている。 以上の目的のもとで、本年度は『源平盛衰記』『承久記』『応仁記』など、他の軍記物語の探求を通じて、『太平記』のもつ意義を明らかにする方向性からの研究を行った。まず、小秋元段「室町時代における『太平記』の享受」(『室町前期の文化・社会・宗教 : 『三国伝記』を読みとく(アジア遊学263)』勉誠出版、2021年11月)は、『応仁記』が従来指摘されている以上に『太平記』に規定された作品であることを指摘するとともに、同書の成立時期を見直すことにより、同書が室町中期における『太平記』の顕著な教授事例たりうることを指摘した。森田貴之が編纂に携わった「『源平盛衰記』全釈(17-巻6-1)」(『名古屋学院大学論集人文・自然科学篇』第58巻第2号、2022年1月)は『源平盛衰記』に対する詳細な注釈で、同書の多数の故事説話の出典等を明らかにすることは、『太平記』の制作環境と対照させるうえで役立つ。北村昌幸「「合戦張本公卿」の末路―流布本『承久記』の着地点」(『国語と国文学』2021年11月号)は流布本『承久記』の論。『太平記』と同様、帝王が謀反を起こして流罪に会い、近臣もこれに殉じる構造をもつ同書のあり方は、『太平記』の歴史叙述と対照させるうえで意味をもつ。なお、森田は『太平記』の奈良絵本の完本として著名な永青文庫本の影印を『奈良絵本『太平記』の世界』として刊行した(中根千絵と共編。勉誠出版、2022年3月)。
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Research Products
(4 results)