2018 Fiscal Year Research-status Report
漢代楚辞作品の多角的研究-文学・思想・文化研究資料としての再評価をめざして-
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18K00348
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢田 尚子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10451494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 信也 東北学院大学, 教養学部, 教授 (00275603)
狩野 雄 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (80333764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 楚辞 / 漢代 / 訳注 / 楚辞補注 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、4月1日の交付決定後、早急にメール上で例会と研究会開催について話し合い、日程の調整をおこなった。 5月下旬に、東北大学川内キャンパスで開催された東北中国学会前後の時間を利用して、第1回研究打ち合わせをおこなった。研究代表者の矢田、分担者の塚本と狩野、協力者の上原尉暢(関西大学非常勤講師〈当時〉)が参加し、研究期間全体の計画と予算について確認した後、漢代楚辞作品の訳注作成のため、使用する底本と訳注形式の決定、参考資料のリストアップをおこない、訳注担当作品の役割分担について再確認した。 10月上旬に、東京大学駒場キャンパスで開催された日本中国学会前後の時間を利用して、第2回研究打ち合わせをおこなった。矢田・塚本・狩野、協力者の上原と木村真理子(東北大学大学院博士課程2年〈当時〉)が参加し、各自の作業進捗状況を報告するとともに、各自の研究の方向性や最新の研究動向について、情報交換をおこなった。 2月下旬に、福岡女学院大学において、2018年度研究報告会および第3回研究打ち合わせをおこなった。矢田・塚本・狩野のほか、研究協力者の上原、高戸聰(福岡女学院大学准教授)が参加した。研究報告会では、矢田が「楚辞「哀時命」について」、塚本が「『漢魏六朝百三名家集題辭注』所収「王叔師集」を読む」、狩野が「二陸と楚辞」、上原が「王褒「九懐」研究」、高戸が「古代中国における蛇と巫の関係について」と題する研究発表をおこない、質疑応答を通して、各自の研究内容について議論をおこなった。また、研究打ち合わせでは、各自の担当する作品の訳注について、作業の進捗状況を報告するとともに、2019年度の具体的な研究計画について話し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
矢田は、賈誼「惜誓」・淮南小山「招隠士」・東方朔「七諫」・厳忌「哀時命」の訳注と研究を担当している。このうち「惜誓」および「哀時命」については、訳注をほぼ完成させ、成果発表のための最終確認をおこなっているところである。加えて「惜誓」については、12月にすでに研究成果を論文として発表した。「哀時命」についても、2月の研究報告会において研究発表をおこない、現在、それをもとに研究論文を執筆中である。なお、12月に刊行した著書は、これまでの楚辞に関する研究成果をまとめたものであるが、本研究課題に関するものも一部含まれている。 塚本は、王逸「九思」の、狩野は、劉向「九歎」の訳注を担当している。現在、両者ともに訳注作成のため、資料の精査をおこなっているところであり、2月の研究報告会において、その成果の一部をそれぞれ発表した。 上原は、王褒「九懐」の訳注を担当している。訳注をほぼ完成させ、現在、その成果発表のための最終確認をおこなっているところである。また、王褒の作品に関する研究の成果を12月に論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前年度に引き続き、各作品の訳注作成や研究論文の執筆を各自で進める。研究成果については、適宜、学術雑誌や学会等で発表していく。また、5月と10月に研究打ち合わせをおこない、各自の進捗状況を報告するとともに、訳注作成上の問題点について話し合う。2月には研究報告会をおこない、各自の研究成果を確認するとともに、研究打ち合わせをおこなって、次年度の具体的な研究計画について話し合う予定である。 2020年度も引き続き作業と論文執筆をおこなう。前年度と同様、5月と10月の研究打ち合わせ、2月の研究報告会および研究打ち合わせを予定している。 2021年度は、研究課題の完成をめざし、引き続き作業をおこなう。また、楚辞あるいは漢賦に関する国際学会に参加し、研究成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者の塚本と狩野が、訳注作成上必要な資料や物品の選定中であったため、物品費およびその他の経費に繰越金が生じた。また、塚本は研究打ち合わせや報告会に研究協力者を伴わず、県外での資料調査等の必要もなかったため、旅費に繰越金が生じた。 両者とも、次年度には資料や物品の選定を終え、物品費・その他の経費の繰越金はそれらの購入費等にあてる予定である。塚本は、次年度以降の本格的な資料調査や学会参加費用、研究分担者の旅費等に、旅費の繰越金をあてる予定である。
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Research Products
(6 results)