2020 Fiscal Year Research-status Report
漢代楚辞作品の多角的研究-文学・思想・文化研究資料としての再評価をめざして-
Project/Area Number |
18K00348
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢田 尚子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10451494)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 信也 東北学院大学, 教養学部, 教授 (00275603)
狩野 雄 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80333764)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 漢代楚辞作品 / 「惜誓」 / 「七諫」 / 「哀時命」 / 「九懐」 / 「九歎」 / 「九思」 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、前年度に引き続き、各メンバーが担当する漢代楚辞作品の訳注作成と作品分析を進めた。本年度の研究成果としては、次の二つが挙げられる。第一に、矢田尚子(研究代表者)が、「楚辞「九懐」の遊行表現について」と題する研究論文を『集刊東洋学』第123号(6月発行)に発表したこと。第二に、狩野雄(研究分担者)が、本研究にも関わる内容の論説を含む著書『香りの詩学――三国西晋詩の芳香表現』を1月に知泉書館から刊行したことである。 3月26日には、オンラインで研究報告会および研究打合せをおこない、塚本信也(研究分担者)、狩野、上原尉暢(研究協力者)、高戸聰(研究協力者)、矢田が参加した。 研究打合せにおいては、それぞれの担当する訳注稿の進捗状況を報告するとともに、疑問点について検討をおこない、知見を共有した。訳注の内容の詳細については、インターネット上のクラウドサービスを利用して、適宜、意見交換や修正をおこないながら調整していくことになった。また、最終年度に向けての研究計画と研究成果報告の方法について話し合った。研究報告会においては、塚本は「傾斜考(三)――白居易と李賀の場合」、狩野は「芳るしとね――詩語「芳縟(褥)」のかそけき系譜」、上原は「江戸修辞学史上における『四六文章図』の位置――江戸期の日中漢詩文作法書・漢字漢語研究書との比較を通して――」、高戸は「姑獲鳥と子育て幽霊」、矢田は「楚辞「哀時命」について」と題する報告をおこない、質疑応答を通して互いの知見を深め合った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矢田は、賈誼「惜誓」・淮南小山「招隠士」・東方朔「七諫」・厳忌「哀時命」の訳注と研究を担当しているが、このうち「惜誓」と「哀時命」の訳注はすでに完成させ、成果発表のための最終調整に入っている。また「惜誓」と「九懐」に関する研究論文をすでに発表済みである。現在は引き続き「七諫」の訳注作成を進め、同時に「哀時命」に関する研究論文の執筆をおこなっているところである。 塚本は王逸「九思」の、狩野は劉向「九歎」の、上原は王褒「九懐」の訳注および研究を担当しているが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策により、資料を所蔵する図書館をはじめ、研究機関の使用や国内の移動が制限され、また、勤務先大学等での授業形態の変化に対応するための準備に時間をとられたことから、それぞれの計画遂行に遅れが生じることになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる令和3年度前半には、引き続き訳注稿作成と作品分析を進める一方、研究成果発信のための準備に入る予定である。令和3年度後半には、各自で進めてきた作品分析に基づく研究成果を、国内外の学会や学術雑誌で発表することを目指す。 各自が作成した訳注稿については、全体の頁数が多くなり、紙数制限のある通常の学術雑誌への投稿が難しいと判断されるため、成果報告書という形での発行を計画している。
|
Causes of Carryover |
令和元年度3月に中国浙江省金華市で開催され、矢田が参加する予定であった楚辞関係の国際シンポジウムが、新型コロナウイルス流行のために延期となり、今年度開催される予定であったが、最終的に中止となったため、参加に必要な海外旅費の支出が生じなかった。また、今年度は3回程度、メンバー全員が集合して国内でおこなう予定であった例会および研究発表会が、やはり新型コロナウイルス流行のために中止となり、年度末にオンライン開催を一回おこなうのみにとどまったため、国内旅費の支出が生じなかった。 令和3年度に開催予定の国際・国内学会にメンバー全員で参加するための旅費、および必要な資料の購入費、研究成果報告書の発行費用として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)