2022 Fiscal Year Research-status Report
漢代楚辞作品の多角的研究-文学・思想・文化研究資料としての再評価をめざして-
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18K00348
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢田 尚子 東北大学, 文学研究科, 教授 (10451494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 信也 東北学院大学, 教養学部, 教授 (00275603)
狩野 雄 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80333764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漢代楚辞作品 / 「惜誓」 / 「招隠士」 / 「七諫」 / 「哀時命」 / 「九懐」 / 「九歎」 / 「九思」 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年9月2~4日に第1回例会を東北学院大学泉キャンパス及び東北大学川内南キャンパスで開催し、塚本は「曹道衡『困学紀程』再読」、狩野は「曹操の貌-非視覚的な、あるいは客体としての曹操像」、研究協力者の上原は「日本近世における“駢文”の位置-釋大巓『四六文章図』を通して-」、矢田は「楚辞「七諫」について」という題目で報告を行った。また、各自担当する訳注作成進捗状況を報告するとともに、研究計画に遅延が発生していることを確認した。特に、予定されていた中国湖北省シ帰での楚辞学国際学術研究討論会・中国屈原学会第19回年会の開催が再三延期されるなど、国内外で新型コロナウイルス感染症拡大防止対策が継続されることにより、年度内の研究遅延解消は困難と判断し、研究計画の再延長申請を検討した。 令和5年1月に改めて各メンバーの研究計画の遅延が解消されていないことを確認し、研究計画の再延長申請手続きを行った。 3月20~21日に第2回例会を大谷大学本部キャンパスで開催し、塚本は「いわゆる第二外国語教育の30年-中国語の場合」、上原は「近世江戸に於ける〈教養〉としての四六文-『四六文章図』を題材に-」、狩野は「光る香り草-班固「西都賦」に見える「蘭シ發色」句について-」、矢田は「楚辞「哀時命」の遊戯文学的側面について」という題目で研究報告を行った。また、訳注作成の進捗状況を報告しあい、作業の途中で浮上した疑問点を検討した。加えて、研究計画の再延長申請が認められた場合の次年度研究計画についても議論し、最終的な成果発表に向けた計画を作成した。 令和4年度の研究成果発表としては、上原が「楚辞「九懐」訳注(上)」を、矢田が「楚辞「哀時命」試論-遊戯文学的側面に着目して-」と題する学術論文を、『東北大学中国語学文学論集』第27号に投稿し、同雑誌は12月末に刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
矢田は、担当している淮南小山「招隠士」・賈誼「惜誓」・厳忌「哀時命」・東方朔「七諫」のうち、「惜誓」の訳注と研究論文、「哀時命」の研究論文を完成させ、すでに学術雑誌に投稿済みである。また「哀時命」の訳注と「七諫」の研究論文もほぼ完成させ、学術雑誌への投稿準備に入っている。現在は、「七諫」の訳注および研究論文の作成を行っているが、研究計画の遂行にやや遅れが生じている。上原は、担当している王褒「九懐」の研究論文と訳注の前半部分をすでに学術雑誌に投稿し、現在は、訳注の後半部分作成の最終段階に入っているため、研究計画の遂行は順調である。劉向「九歎」担当の狩野は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に伴う勤務先学内業務の増加により、また、王逸「九思」担当の塚本は、学部長就任による学内業務の激増により、訳注・研究論文の作成が滞っており、計画の遂行は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度前半は、前年度に引き続き、メンバー各自で訳注作成作業および作品研究を進める。なお、研究協力者1名に淮南小山「招隠士」の訳注と研究論文作成を依頼する予定である。他の役割分担に変更はない。 これまで通り、適宜メールやGoogleドライブ等を活用し、情報の共有をはかりつつ、研究計画の完成を目指す。9月もしくは10月上旬に第1回例会を開催し、各自の研究成果報告を行うとともに、年度前半の研究進捗状況と後半の研究計画を確認する。令和6年3月に第2回例会を開催し、6年間の研究期間を通じての計画実施と成果を振り返り、最終報告書を作成する。 また、令和5年4月に中国湖北省シ帰で楚辞学国際学術研討会・中国屈原学会第19回年会の開催が予定されており、矢田はオンライン参加で研究成果の一部を発表する予定である。研究成果発表としては、他に、国内学術雑誌への投稿、国内学会における口頭発表などを予定している。
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Causes of Carryover |
令和4年度内に中国湖北省シ帰で開催される予定であった屈原及楚辞学国際学術研究討論会・中国屈原学会第19回大会への各メンバーの参加のため、海外旅費を計上していたが、同学会は延期され、年度内には開催されないこととなった。そのため、当該年度の実支出額が当初の予定を下回った。 次年度は2回の例会開催と、主要メンバーの学会への参加を予定しているため、その旅費に充てる。
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Research Products
(4 results)