2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00349
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森賀 一惠 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (60243094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 説文解字注 / 段玉裁 / 訓読 |
Outline of Annual Research Achievements |
許慎『説文解字』は、後漢永元12年(100)に成立した、部首・六書など今日も残る漢字に関わる概念を初めて取り入れ、漢字を体系的に整理した字書であ り、伝統的な漢字学の経典的資料である。また、それだけでなく、当時の通行書体(今文)は隷書だったが、当時体系的に残る最古の字体であった篆文を見出し に立て、前漢に孔子旧宅の壁中や民間から発見された秦以前の文献資料に用いられていた文字を「古文」として収録しているため、甲骨文字、金文、戦国文字で 書かれた出土文献の解読の手がかりも多く含まれ、伝統的な文字学ばかりでなく、最先端の出土文字研究にももっとも有用な資料の一つである。ただし、当然のことながら原本は現存せず、10世紀半ばに徐兄弟がそれぞれ校定した二本(大徐本、小徐本)が現在通行する『説文解字』の祖になっているが、諸本間には異同があり、資料として用いるためには更なる校訂作業が必要で、また1900年余り前の資料であるため、内容を理解するのも容易ではない。清朝考証学者たちはそのような問題を解決すべく努力したが、なかでも段玉裁『説文解字注』は『説文』注釈の最高峰とされ、『説文解字』読解のための必読書となっている。中国古代の文献解釈のカギを握る『説文』を理解するために必要な段注の訓読・注釈作業は重要な事業である。本研究は既刊の『訓読説文解字注』で行われ、現在中断している段注の訓読・注釈作業を再開し、完了することを目的としており、現在、すでに十二篇上の注釈を『富山大学人文学部紀要』に連載しており(第67号(2017年8月)~第74号(2021年2月))、今後は十三篇、十四篇についても訳注作成を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作業の性質上、同じ書物の版本を比較する必要があるが,本務校の用務や、年度末のコロナウイルス蔓延の影響で、調査出張が不可能なため、十分な校勘作業ができていない。また、発表する媒体が紀要のみなので、成果の公開が難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
注釈作業を進めながら、コロナウイルスの蔓延が終息するのを待って、調査を行う。場合によっては、研究期間の延長も考える。また、成果発表については他の資金の獲得などの手段を考える。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延の影響で、調査に行けず、調査費を使用できなかった。また、学内の管理運営に関わる業務が増加し、予定通りのエフォートを説文解字注の訳注作成に割けなかったため、資料費も使うことがなかった。進捗状況によっては、研究期間の延長をすべきであると考えている。 作業を中断してはいないが、作業の進み具合が捗々しくなく、十分にエフォートを割けなかったので、研究期間を延長する場合の事を考え、作業の進まなかった今年度は調査費や資料費に手を付けず、将来に備えた。 次年度も調査ができない場合は、調査のかわりに、紙媒体や電子媒体の資料、電子データ処理用のパソコンの購入が必要となるので、調査費にかえて物品費の支出が高まると考えられる。
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Research Products
(2 results)