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2019 Fiscal Year Research-status Report

語りの変遷ー『夷堅志』の新しさ

Research Project

Project/Area Number 18K00362
Research InstitutionKansai Gaidai University

Principal Investigator

安田 真穂  関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (70351559)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 福田 知可志  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (00747214)
田渕 欣也  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (90747213)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords夷堅志 / 洪邁 / 太平広記 / 異人 / 中国古典小説 / 版本 / 中国地方志 / 建炎以来繋年要録
Outline of Annual Research Achievements

本研究グループはすでに平成27年度から3年間、基盤研究(C)「『夷堅志』の総合的研究」(課題番号:P15K02445、研究代表者:安田真穂)において、南宋の歴史家である洪邁によって編纂された『夷堅志』(全420巻、現存は207巻)を対象とした研究を続け、その内容について精読してきた。そして今回のテーマでは、『夷堅志』収録記事の持つ、内容の「新しさ」について論じることにより、従来の「小説としての発展性に欠ける」という研究評価とは違った一面を明らかにしていきたいと考えている。
今年度の研究実績についてはまず、『夷堅志』研究会を毎月二回開催して、本研究の研究分担者等と共に研究を進めてきた。但し2020年2月からは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、研究会も自粛することにし、代わりに現在は、メールでの原稿のやりとりによって、互いの意見を交換し、これまで通りに各自の研究を進めているところである。
次に今年度の研究成果の一部として、シリーズ五冊目となる『『夷堅志』訳注 丙志上』を出版し、その巻末解説論文として、研究代表者である私、安田真穂による「『夷堅志』にみる「異人」」という拙論を発表することとした。ただこれも、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、出版原稿はすでに入稿しているが、印刷所の自粛の為に、未だ未刊の状態となっている。しかし出版社が始動次第、本年度内には刊行出来る予定である。
実際に『夷堅志』を精読していく中で、六朝の志怪小説とは明らかに異質な話が数多く存在すること、そして宋代という様々な文化が発展した時代背景を受けた現代のメディア的な要素を含んだ新しいジャンルへの変化を感じる。巻末解説として掲載した拙稿も、『夷堅志』の再評価と、通俗性や娯楽性の高い読み物として変容を遂げている魅力を明らかにすることを目標としている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今回の科研費の研究期間(2018年度~2020年度)の内、一年目に研究成果として『『夷堅志』訳注 乙志下』(汲古書院、2018年10月23日発行)を上梓することができ、更に二年目に当たる2019年度末には、同『丙志上』が出版できる原稿を整えた。更に本書の巻末解説論文として、研究代表者である私、安田真穂が「『夷堅志』にみる異人」と題した拙稿を発表し、中国古典小説にしばしば登場して話の核となる役割をもたらす「異人」という存在を通して、本科研費研究題目でもある『夷堅志』の新しさについて論じ、その一端を明らかにした。
予定通りであれば、遅くとも2020年度初めにはすでに出版できているはずであったが、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、出版社が営業を自粛していた関係で、原稿はすでに出版社へ送ってあるのだが、未だ出版できていない状況である。しかし、遅くともこの三年目にあたる2020年度内には、出版できることと考えている。
また本研究グループは引き続き、毎月二回開催していた『夷堅志』研究会を、メールでのやりとりに置き換えて、すでに『夷堅志』丙志巻11の内容について精読を開始している。大学図書館が自粛閉館していた影響で、なかなか調査が進まない部分もあったが、手元の資料で調査可能な部分から研究を各自で進めていっている為、調査の順序が少し変わる程度で、今のところはそれほど影響を受けていないと考えている。しかし今後、徐々に遅れてくる可能性を危惧している。現在は、できるところから各自で研究や調査を進めていっている状況である。
最も予定から遅れているのは、『夷堅志』研究のホームページの開設であるが、今回の様々な活動自粛の中で、一層強く、HP開設の必要性を感じた。そもそもコンピューターの操作に不慣れな為になかなか進まないが、出来る限り今年度中の公開を目指したい。

Strategy for Future Research Activity

毎月二回、本研究の研究分担者らを集めて開催していた『夷堅志』研究会は、現在休止している状況であるが、代わりに、メールにて原稿のやりとりを行い、互いに意見を述べ合うというスタイルに変更して、引き続き『夷堅志』丙志巻11から順に、内容を精読していく予定である。これまでのように大学図書館にて文献を調査することが困難になってはいるが、手元の資料などを活用し、できるところから各自で研究を進めていく。 更に研究内容を論文にまとめ、大学の紀要などに発表していきたい。
出版が延期されている『『夷堅志』丙志上』に関しても、出版社の営業が再開次第、出版準備に入り、今年度中の刊行を目指す。
当初に予定していた国内外の『夷堅志』の現存版本を調査しに行く計画については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在中国などへ渡航することは難しくなっている為、この計画は一旦、断念せざるを得ない。代わりに、現在では様々な図書館がネット上にアップしている資料などもあることから、ネット上や出版されている資料・論文類から『夷堅志』に関係するものを蒐集していきたいと考えている。
『夷堅志』のホームページの開設については、コンピューター関係に不慣れな為に、手助けが必要な状況であるが、今回の自粛の影響でなかなか協力が得られず困っている。しかし、このような状況だからこそ、ホームページ開設の必要性を強く感じている。出来る限り今年度中の開設、公開を目指す予定である。

Causes of Carryover

当初の計画では、国内外の現存する『夷堅志』版本を調べる為に中国はじめ各関係個所へ調査へ行く予定にしていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、調査へ行くことができず、旅費が未使用になっている。これについては今後、感染がいつ終息するのかに左右される為、恐らく当分は難しいであろう。
従って計画を変更し、『夷堅志』に関するネット上に公開されている貴重な図書や論文などを集めたり、関連書籍を購入したり、またデータ化されている中国地方誌シリーズなどのやや高額な電子図書を購入するために使用し、今後の研究活動に役立てていくことにする。
また『夷堅志』研究会ホームページの作成が、思いのほか難しくて進まないため、作成にかかる費用も、大半が未使用のまま持ち越されている。次年度中の開設を目指し、作成にかかる費用も、次年度に使用する予定である。更に謝礼を払って外部の力を借りることも視野に入れつつ、ホームページの早期開設、公開を目指したい。

Remarks

現在、『夷堅志』研究会のホームページを作成中です。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「楊家将の第三世代以降について―楊文廣を中心に―」2020

    • Author(s)
      田渕欣也
    • Journal Title

      『都市文化研究』

      Volume: 第22号 Pages: 16-23

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 『玉歴鈔伝』嘉慶十七年凌周文序刊本訳注(八)2019

    • Author(s)
      福田知可志
    • Journal Title

      『飆風』

      Volume: 58号 Pages: 100-108

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 膾と鯉ー『夷堅志』「松江鯉」と唐代伝奇「薛偉」(魚服記)などの説話との比較2019

    • Author(s)
      福田知可志
    • Organizer
      第213回宋代史談話会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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