2019 Fiscal Year Research-status Report
中華民国期の越劇におけるメディア・観客の位相に関する研究
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18K00364
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 教授 (20332653)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 越劇 / 中国演劇 / 戯考 / 唱本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二十世紀前半の中国都市芸能演劇史における越劇の位相について、発展形態とメディア・受容者との相関性という観点に基づき分析を行うものである。令和元年度は昨年度に引き続き、上海図書館近代文献部において、劇本・唱本に重点を置き、閲覧・収集を行った。同様に、同図書館においては、関連する同時代の越劇や他の伝統演劇、特に同時代の上海京劇や、越劇と競合関係にあった滬劇、その他江南地域で行われる地方劇に関する新聞・雑誌の閲覧・収集も行った。 令和元年度の調査にあたって収集した劇本・唱本、および新聞雑誌記事等は、昨年度に引き続き、ジャンルや時代背景を踏まえて大まかな分類を行った。同時に、冊子の体裁、内容の構成、収録テクストの言語面に注意を払いつつ、内容的な分析を行っている。それらの分析によってもたらされた成果、およびこれまでの予備的な調査によって得られた知見を踏まえ、令和元年度は論文「越劇の受容者とテクスト―戯考と唱本-」(関西学院大学商学研究会『商学論究』第67号第4号 山本俊正教授記念号、p87-104、2020年3月)を刊行することができた。本論考では、戯考や唱本の出版社および出版形態にも着目し、これらが流通し、受容される環境について重点的に論じた。また、それらの受容者たる観客・読者が、いかなる嗜好のもと、こうした戯考や唱本を「読むテクスト」として日常生活に採り入れていったのかという問題について、関連研究や同時代資料を用い、詳細な検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度内に予定していた数量とほぼ同量の資料を収集することはできたが、詳細な整理分類は中途段階にある。また、春季休暇の現地調査は実行出来なかった。さらなる関連論考の刊行も予定しているが、上記事情により、現時点では準備段階にとどまるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降も引き続き上海図書館近代文献部を中心に、越劇の劇本・唱本の閲覧・収集、およびその整理・分析を予定しているが、状況によって不可能である場合は、収集済み資料の整理・分析に重点を置く。また、研究会やシンポジウム等での発表を行いつつ、準備中の論考を刊行する。
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