2023 Fiscal Year Annual Research Report
Melville in His Later Years: His Asthetics and Politics from Transatlantic Perspectives
Project/Area Number |
18K00368
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
斎木 郁乃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90294355)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハーマン・メルヴィル / トランスナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、『白鯨』以降のメルヴィル後期の作品について、トランスナショナルな視点からその美学と政治学について考察し、それらの作品を再評価することを試みた。最終年度における研究成果としては、まず、「エンカンターダス」の第8スケッチにおいて、一見沈黙を強いられるサバルタンとして描かれている混血の女性ウニーヤに、メルヴィルが語りのテクニックを駆使して声を与えたことを論証し、本作品のポストコロニアル的な批評に一石を投じた論文「「キルケーの盃」―「エンカンターダス」におけるサバルタンの声」が、日本メルヴィル学会の学会誌『Sky-Hawk』に掲載された。本論文は、2022年に国際メルヴィル学会で発表した"A Woman on a Deserted Island: Sexuality and Environmental Energies in “The Encantadas” and Tokyo Island"および同年名古屋大学英文学会のシンポジウムで発表した「『エンカンターダス』の騙り」の発表原稿と他の研究者の方々との議論をもとに推敲・改稿して完成させたものである。また、2024年度中に出版される予定のメルヴィルの南北戦争詩集Battle Pieces and Aspects of Warの翻訳プロジェクトに共訳者の一人として参加し、2024年3月までに詩の翻訳を一通り終えた。また、2025年刊行予定の『ピエール』論集への寄稿のため、『ピエール」とメルヴィルの短編小説数編における貧困の諸相についてのリサーチをした。
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