2022 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on Shakespeare's Folios
Project/Area Number |
18K00370
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑山 智成 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40388062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住本 規子 明星大学, 人文学部, 教授 (10247174) [Withdrawn]
廣田 篤彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40292718)
長瀬 真理子 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (80636506)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 書誌学 / シェイクスピア / フォリオ / 英文学研究 / 演劇研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研のまとめとして2023年3月29日にZoomにおいて国際セミナーExploring Shakespeare’s Folios を開催し、50名を超す国内外の研究者を聴衆に以下の成果を発表した。要点は以下の通り。(長瀬)F4の無記名印刷者の特定に関する論考をまとめ、発表した。特定には、出版年の近い古版本間で使用された同一欠損活字を追跡し、所有者を特定する手法を採用した。本調査結果を受け、喜劇セクションの印刷者がRobert Robertsであるとする先行研究自体を見直す必要性も明らかとなった。また今年度はShakespeare Journalにおいて、F1出版が印刷者William Jaggardによって企画されたものであることを論じた。(廣田)期間を通じてF諸版とそれ以前に出版されたQとの比較を通じた新たな戯曲解釈の可能性を探究した。その一つの成果として、The Merry Wives of WindsorのQ1, Q2に異なる形で出現するmetamorphoseという語の(誤った)綴りが、F1 の対応箇所では『変身物語』中の挿話への不正確な言及に置き換えられていることに着目し、これらの現象をむしろ言換え、書換えと解釈し、劇中で英国的な形に変容させられて繰り返されるFalstaffの「変身」との関係において、オウィディウス的変身の馴致としてその意義を論じた。(桑山)期間を通してF1-4の比較検討を進めた結果、F2の独自性と後世の編集への影響に関する発表を行った。F1のPreliminary Sectionに対する変更点を指摘しただけでなく、具体的な編集例として『冬物語』を取りあげ、作者の価値をF1以上に称揚しつつ、テキストを大胆に改変する二律背反性を指摘し、現代まで続く影響について論じた。3名はセミナーにおいて獲得した新たな知見を基に改訂版の出版を目指している。
|
-
-
-
-
-
[Book] 冬物語2023
Author(s)
シェイクスピア、桑山 智成
Total Pages
300
Publisher
岩波書店
ISBN
4003725107
-