2018 Fiscal Year Research-status Report
Intimacy between Women in African Novels
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18K00373
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大池 真知子 広島大学, ダイバーシティ研究センター, 教授 (90313395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文学 / アフリカ / セクシュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)アフリカのセクシュアリティの研究を概観するため、これまでのエイズの表象の研究で集めた資料に加え、新たに資料を収集し、読み込みを行った。その結果は、2019年6月に開催される黒人研究会の全国大会のシンポジウム「性暴力の被害者/サバイバーとしてのアフリカの女を再考する――2010年代の視点から」で「アフリカのフェミニストが語るアフリカの性」を発表する予定でいる。これまで明らかになっていることを簡潔に述べるならば、2000年代に、南アフリカを中心にアフリカ視点でのセクシュアリティ研究が発展した。2010年代には南アフリカ以外の国にも広まった。2000年代の飛躍的な展開の背景には、アパルトヘイト撤廃によって、性の改革の雰囲気が社会全体にあふれていたことが挙げられるが、90年代後半から2000年代前半の細かな流れは明らかになっていない。 (2)アフリカ文学の作品を再読するとともに、新しい作品を収集し読んだ。母親と息子の愛情をセクシュアルなイメージで語る作品、義弟との関係を語る作品がある一方で、歴史小説にも性的マイノリティが登場するなど、多様な性の表象がされている。しかし、女性の性表象や同性愛の表象について、アフリカ文学全体の流れや構造はいまだつかめていない。 (3)日本でもLGBTにたいする関心は急速に高まっている。日本の資料を収集するとともに、研究者と交流して、情報収集を行った。とくにアフリカの事情は日本では知られておらず、日本の研究者の間で偏見も強い。今後研究交流を進めることで、アフリカ視点からの貢献をし、研究を活性化させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
南アフリカで資料収集をする予定だったが、まずは国内で入手可能な資料の読み込みを進めた。その結果、アフリカの性に関する全体の流れは整理できた。一方で、国内でのLGBT問題の関心の高まりもあり、セクシュアリティの研究者と研究交流を進めた結果、比較研究の可能性も出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)南アフリカでの資料収集を2019年度中に行う。ただし2019年5月に大統領選挙が実施される予定であるため、情勢が安定した9月ごろに訪問を計画している。 (2)作品をできる限り収集して読み進め、全体のトレンドを把握する。国や地域を絞るなどが必要かもしれない。 (3)日本のセクシュアリティ研究者と交流を進め、セクシュアリティ研究にアフリカの視点から貢献し、研究を活性化させる。
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Causes of Carryover |
南アフリカで資料収集のための出張を行わず、国内で基本的な資料の読み込みを行ったために繰越金が発生した。資料の読み込みにより概念の整理ができたため、2019年度にはその知見をもって南アフリカに出張を予定している。
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