2019 Fiscal Year Research-status Report
Intimacy between Women in African Novels
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18K00373
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大池 真知子 広島大学, ダイバーシティ研究センター, 教授 (90313395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 英語圏文学 / アフリカ / ジェンダー / セクシュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカのセクシュアリティ研究の状況について、昨年度から資料を収集してまとめてきた内容を、本年度、6月に学会発表し、その内容をさらに精緻化して、3月に論文として発表した。1980年代から2010年代の研究の潮流を整理した内容で、80年代から90年代にかけて、欧米諸国がアフリカを経済的に搾取し、文化的に他者化したがために、その反発でアフリカの性の研究が遅れたこと、2000年代からは、欧米内での道徳的な対立が、アフリカを舞台にして繰り広げられ、性の政治(とくにLGBTの政治)が先鋭化していることを明らかにした。こういったアフリカの性の研究状況については、アフリカ研究者にも、アフリカ以外の性の研究者にも十分に知られていないので、今後、多くの隣接領域の研究者と知見を共有し、研究を発展させていきたい。 また、アメリカの団体CEDARが実施する他者理解のためのワークショップに参加した。異なる文化が出会うとき、セクシュアリティは、道徳や価値観の違いとして先鋭的な対立軸となる。8月に長崎で2泊3日の簡易版が、12月にウガンダで2週間の正式版が実施され、参加した。12月のウガンダのワークショップは、身体文化をテーマとしたもので、宗教社会学を専門とする研究協力者と参加した。ウガンダの伝統社会がジェンダーにより秩序化されていること、それをた性器加工によって身体化することを、各国の実践者や研究者と共有し、今後の共同研究の可能性を見つけることができた。 今年は南アフリカに資料収集に行く予定だったが、変更してウガンダでのワークショップに研究協力者と参加した。南アフリカには来年度に行く予定だが、コロナウイルスの広まりによっては、難しい可能性がある。その場合は、日本で入手できる資料で研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に、アフリカのセクシュアリティ研究の中心地である南アフリカで資料収集をする予定だったが、より土地勘のあるウガンダで、身体文化をテーマとするワークショップに参加し、情報収集を行った。その結果、アフリカのジェンダーとセクシュアリティの構築についての理解を深めることができた。 また、アフリカのセクシュアリティ研究のトレンドについて、「黒人研究学会」のシンポジウムで発表し、それを論文にまとめた。その知見をアフリカ以外のセクシュアリティ研究者と共有する準備ができたことは大きな成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
アフリカのセクシュアリティ研究の中心である南アフリカには、研究機関中のできるだけ早期に赴く必要があるが、コロナウイルスの状況によっては、2020年度は難しい可能性がある。 海外の調査が困難な場合は、入手可能な作品を読み込んで、分析を進め、論文化していく。
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