2018 Fiscal Year Research-status Report
Antiquarianism and British Romantic Literature and Culture
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18K00379
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 雅之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50091195)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古事物愛好主義 / 古代ブリトン人 / ドルイド教 / ストーンヘンジ / ウェールズ / 思弁的神話作家 / バード / ケルト |
Outline of Annual Research Achievements |
古事物愛好主義(Antiquarianism)の最大の特徴は古代ブリテンの「過去」を掘り起こし再創造することである。イギリスの古事物・古代性に対する興味と関心がとくに高まったのが17世紀から19世紀のことであり、多くの古事物研究者・愛好者(Antiquary)が生まれた。本研究課題は、隆盛を見た古事物愛好主義から生まれた多様な言説とその影響を、18世紀後半から19世紀前半にかけてのイギリス・ロマン主義時代の文学と文化(哲学、政治、宗教、遺跡、視覚芸術等)の中に探り、古事物愛好主義を鍵概念として第一次資料の詳細な分析を行い、領域横断的な考察を加えることを目的とする。これまでは断片的で細分化されたものとして捉えられてきた当時の文学と文化の諸相を新たな統一的視点で読み解き、それらの諸相が緊密な相互依存の編み目を形成している様子を浮き彫りにし、新しいイギリス・ロマン主義文学・文化像を提示する。 イギリス・ロマン主義時代の古事物愛好主義的言説を──1.古代ブリトン人、2.ドルイド教、ストーンヘンジ、3.ウェールズにおける古詩とバードの伝統復活、ケルト民族起源論、4.古代神話論、思弁的神話作家、オシアン現象、5.地方史等──に分類し、その政治的・歴史的・宗教的背景を明らかにした。これらの項目は、言うまでもなく、相互依存関係にある。この時代に広く読まれた多様な言説をを精読し、当時の「古代」観を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に必要な重要文献も入手できていることがその理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、(a)古事物愛好主義的言説項目の広範囲にわたる影響および内的関連性を、横断領域的にイギリス・ロマン主義時代の文学・文化の諸領域に探り考察を深める。(b)(a)の文献に掲載の図版を入手する。他の図版も関連する視覚資料として可能な限り多数入手し、古事物愛好主義と視覚文化との関係を解読する。資料等の整理には院生を雇う。②イギリスへ資料収集に出かけ文献の充実をはかり、また関連学会等に出席しまた研究発表を行い情報の交換を行う──以上の方向でさらなる研究の深化を図りたい。
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Research Products
(2 results)