2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00385
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
伊藤 淑子 大正大学, 文学部, 教授 (50223201)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Margaret Fuller / アメリカン・ルネサンス / フェミニズムの系譜 / 女性の言説 / アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀なかばのアメリカン・ルネサンス期に、アメリカ文学はナショナルな文学ジャンルとしての地盤を確立するが、そのなかで女性の文学的自己表象の言論がどのように形成されたのかを、①当時の政治的事情、社会的現実、国際的状況を踏まえたうえで多角的に探ることと、②現在の視点から、1970年代以降に構築された批評理論としてのフェミニズムを応用し、新たに注目されているクイア批評も射程に入れて、文学研究と社会改革の連携の可能性を探求することを本研究は目的としている。アメリカ・ルネサンスというアメリカ文化の形成期に、女性の文学的自己表象の言論がどのように形成されたのかを追究し、文学を中心に、社会、政治、教育、ジャーナリズムにおいて発せられた女性たちの声が響き合い、規範的女性像を脱構築しながら、どのように女性の言説形成に蓄積されていったのかを問うために、とくに力を入れたいのが、19世紀の女性運動のなかで発行された文芸誌The Una: A Paper for the Elevation of Women (1853-55)とWoman's Journal (1870)の資料収集と分析である。 研究の1年目にあたる2018年度は、アメリカン・ルネサンスに関する内外の基本文献の確認と書誌の整理に大半を費やすことになったが、The Unaの総監と編集に当たったPaulina Davisの著作と、Davisのあとを引き継いだCaroline Wells Healey Dallの著作を分析し、男性中心のアメリカ文学に対抗する言説の分析を行った。今後の計画として、ジェンダー視点から、The Unaの分析を行い、女性作家の一次資料を中心に、無名の著者も含めて、超絶主義における主体の言説構築の分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカにおける最初のフェミニズム新聞であるThe Unaについては、国内のマイクロフィルムを探していたが、ボストンの図書館からPDFの提供を受けることができた。損傷のあるページもあり、読み解いていくのは容易ではないが、研究の準備を計画通り整えることができた。まだ入手しなければならない資料はあるが、Margaret Fuller、Paulina Davis、Caroline Wells Healey Dallの3人の女性を中心に、アメリカン・ルネサンス期の女性の言説を読み解いていく準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2019年度はThe Unaを中心に、丁寧に一次資料を読むことに集中し、分析をしていきたいと考えている。同時に、まだ未入手の資料調査をし、女性の権利をめぐる言説の分析を進めていく。
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Research Products
(3 results)