2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00385
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
伊藤 淑子 大正大学, 文学部, 教授 (50223201)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカン・ルネサンス / フェミニズム / マーガレット・フラー / 19世紀アメリカ文学 / 女性の言説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ・ルネサンスというアメリカ文化の形成期に、女性の文学的自己表象の言論がどのように形成されたのかを追究することを目的としている。文学を中心に、社会、政治、教育、ジャーナリズムにおいて発せられた女性たちの声が響き合い、規範的女性像を脱構築しながら、どのように女性の言説形成に蓄積されていったのかを問う。アメリカン・ルネサンス期を女性の主体構築という視点から新たに分析することを目指し、同時代に起こった言説的現象を分野的境界を超えて、現代批評理論を応用して新たな意義を問い直したいと考えて研究を進めている。 2019年度の成果としては、日本ナサニエル・ホーソーン協会の全国大会のシンポジウム「アンテベラム作家たちの台所事情」で、「フラーからギルマンへ――19 世紀の女性と経済」と題し、女性の自立に立ちはだかる経済の問題を女性たちがどのように表現していたか、経済という直截な状況をどのようなレトリックで表現し、そのことによって価値観やジェンダー役割の規範をいかに乗り越えようとしたかを論じた。概要は英文で"Feminist Strategies for the Achievement of Economic Independence:Woman in the Nineteenth Century (1845) and Women and Economics (1898)"と題し、日本ナサニエル・ホーソーン協会ニューズレターに掲載した。 また、本研究のテーマに基づく論文「響きあう声:アメリカ文学における女性の表象と抗拒の言説」で審査を受け、学位を授与された。 19世紀の女性の知的啓発に貢献した文芸誌The Una: A Paper for the Elevation of Women (1853-55)とWoman's Journal (1870)の資料収集と分析は進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上半期は順調に研究を進展させることができたが、秋以降に公私において変化があり、研究のペースが乱れた。また、コロナ感染拡大の影響で、3月に予定していた海外での調査も断念せざるを得ず、計画通りに研究を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染の状況を見定めながら、2019年度に実施することのできなかったアメリカでの資料収集や調査を、本務校における業務とのバランスをはかりつつ、2020年度に実施したいと考えている。 また、執筆を計画している論文を完成させ、研究成果の公表に努める。状況が許せば、アメリカで開催される学会で、研究発表を行いたいと考えている。本研究に関連して手掛けている翻訳も2020年度中の出版を果たしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響で、予定していた出張を取りやめたため、旅費が残りました。2020年度に持ち越し、計画を実施したいと考えています。
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Research Products
(4 results)