2020 Fiscal Year Research-status Report
Symbiosis through growing network by apropriations and repetitions
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18K00387
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
虎岩 直子 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (50227667)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 借用 / アッサンブラージュ / 詩と視覚芸術 / Sinead Morrissey / 環境との共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、夏季休暇中に口頭発表参加する予定であった論文を準備した。ポーランドのウッチ大学開催のアイルランド文学国際学会で発表予定の論文では、現代英語詩人(北アイルランド出身)Sinead Morrisseyの詩集On Balance (2017)を分析対象として、自己と他者、現在と過去、環境と人間のあいだの「境界」を前提に、「境界」があるがゆえに形を変えながらさまざまな「こちら側」と「向こう側」とが一刻一刻変形生成する世界の中で、形を変えながら繋がっていくありようと、そのありようの意味・意義を把握しようとする視点の重要性を論じた(21年度に発表と出版を予定しているため未発表)。本論文は当該研究の主題、「環境との共生」と関連しており、Morrisseyはそのテーマを他メディア作品の「借用」を多用して展開するため、方法としても当該研究と繋がっている。 次に、10月に明治大学で開催予定であったIASIL Japan学会で参加することになっていたシンポジウムの準備をした。シンポジウムのテーマは'Illness and Irish Writing'で、学会総合テーマの'Revolutions/ Resolutions'という視点から、当該研究者は、ジル・ドウルーズの’Critical and Clinical'を援用して、文学を「停滞している」病気の状況を治す手段、新たな局面を切り開くrevolutionとも繋がら手段として考える予定であった。これは現在感染症Covid19が圧倒している状況での「芸術」の役割とも結びつき、延期され2021年10月に開催(オンラインであっても)と決定したシンポジウムでさらに踏み込んだ議論を提示できるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は当該研究の最終年度にあたり以下の活動を計画し、それぞれ2019年末までは順調に準備が進行していたが、Covid 19蔓延の影響で全ての学会が延期あるいはキャンセルとなった。活動予定だったものを記す。 夏季休暇中には7月から8月初めにかけて開催されるふたつの関連国際学会で口頭発表する予定であった。インスブルック大学開催予定であった英語文学学会は"Collisions of Cultures. Frictions and Re-Shapings"という全体テーマ、ポーランドのウッズ大学開催予定のアイルランド文学国際学会がCrossing the Borderというテーマで、、当該研究テーマ の「さまざまな境界を超えて他者がいかに共生するか」と合致する部分が大きく、他の研究発表を参照しながら当該研究をさらに発展させうる機会であった。延期が解消される21年度、22年度に成果を待つことになる。 10月には当該研究者所属の明治大学で、所属学会と協賛で、海外か ら実作者および研究者を招いてシンポジウムを計画していたが、これも21年度に延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度が本課題研究の最終年度であったが、上記の進捗状況で説明したように、予定していた学会発表、シンポジウム開催が次々に延期となったため、21年度に持ち越された学会発表、学会とシンポジウム開催を粛々と準備して実行することに心がける。 ただ、すでに7月末に予定されていたポーランドでの学会はオンライン開催となり、明治大学で開催予定の国際学会とシンポジウムもオンラインになる可能性が強い。当初とは異なった形の学会になるが参加発表予定である。 本研究の主眼の一つとしていた視覚芸術作品(パフォーマンスを含む)の現地取材(ヨーロッパとオーストラリア)が当面難しそうなので、予定以外のオンライン学会に参加、また現在検討中であるが国内外の視覚芸術作家と文学作家をオンライン討論に招待して、「環境」「共生」「病気」「芸術」をキーワードに当該研究テーマを発展させる。招待作家の旅費滞在費が必要ないため当初の予定より多く実作者を招く予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定されていた参加予定学会のうち二件が21年度に延期になり、その準備、参加費が必要である。また、最終年度に企画していた国際シンポジウムは、来日した研究者と実作者を招待して開催する予定であったが、渡航および物理的な国際間の移動が難しいので、さらに招待者を増やして、オンラインでシンポジウムを予定している。そのための招待費用、翻訳、同時通訳、そのあとの出版に経費が生じる。
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Research Products
(3 results)