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2021 Fiscal Year Research-status Report

The Third Race: The Significance and Historical Context of Representations of Black Elite in Modern American Literature

Research Project

Project/Area Number 18K00388
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

新田 啓子  立教大学, 文学部, 教授 (40323737)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
KeywordsBlack Lives Matter / 人種主義 / ブラック・フェミニズム / ジム・クロウ / 黒人文学 / 奴隷制 / アボリショニズム / インターセクショナリティ
Outline of Annual Research Achievements

本研究当初の最終年度であった令和3年度は、第4期-第5期文献研究、つまり20-21世紀における黒人エリートならびに黒人運動の今日的水準を対象とした調査を補完するために、米国のアーカイヴや図書館に出張する機会を伺いながら、成果公開を集中して行った。
2020年5月に世界的に拡散したブラック・ライヴズ・マター運動は、これまで日本における認知が潜在的なレヴェルにとどまっていた米本国の優れた文学作品、そして人文科学的な成果の日本語への翻訳に弾みをつけた。そうした書籍へ収録する解説などの形態で、3本の論文を執筆したのが本年度における最大の直接的な成果であった。
他方、より広義かつ長期的・派生的なプロジェクトであるアメリカ文学の人種表象、ないしはアメリカ作家にとってのグローバルサウスの分析に基づく成果として、イーディス・ウォートンの第一次世界大戦時の作品群を主題とした論文を出版したほか、人種とジェンダーの「アイデンティティ」形成と近代社会制度における他者化の政治を紐解く名著『愛について――アイデンティティと欲望の政治学』(竹村和子著)の再版に伴う解題を担当した。2002年に出版された同書の今日的意義を解き明かすにあたっては、黒人社会における自意識の構造を分析してきた本研究から得た見識が、中心的な役割を果たした。
これらの成果公開のかたわら、本研究課題より出来した新たな研究の萌芽である「エコロジーとしての人種」についての考察を始めたことも、本年度の実績である。これについては、2021年5月に九州アメリカ文学会で行った講演をその出発点とし、すみやかに単著としてまとめるべく、各章を構成する論文執筆への着手を始め、年度全般にわたって取り組みを続けた。これについては、令和4年度の完成を目指している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究そのものは必ずしも遅れてはおらず、国内では成果も順調に公開できているほか、本研究から生まれた次なる萌芽についての考究も進んでいる。しかし、当初目論んでいた海外アーカイヴで行うべき資料調査は滞っており、それが本区分を選んだ理由である。海外アーカイヴで調査ができないのはひとえにCovid-19パンデミックのためである。

Strategy for Future Research Activity

必要な海外調査が滞っているために、年度終盤、本研究の1年の延長を申請し、採択された。よって、令和4年度には米国の大学や図書館と密に連絡をとりながら、長期休暇中などにリサーチの遂行を果たしたい。それと同時進行し、著書の執筆を継続するが、アーカイヴでは特に、執筆のうえで文学作品の考証のための鍵概念としている「カラーブラインド主義」、「インターセクショナリティ」、「レイシャル・キャピタリズム」をスコープとして、重要な文献を収集したい。

Causes of Carryover

Covid-19パンデミックにより、令和2年度と3年度に計上していた海外アーカイヴ調査旅費合計2回分が使用できなかったことによる。令和4年度には状況が許す限り、まずこの当初の使途で研究資金を活用し、リサーチを行う計画を立てている。感染状況や大学の本務などとの兼ね合いで、仮に2度の比較的長期のリサーチ出張が不可能である場合には、書籍、ならびに研究成果発表を促進するためのノートパソコンをはじめとした物品費として、研究資金を使用したい。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (4 results)

  • [Journal Article] 「サイディヤ・ハートマン『わきまえのない女たち、美しい実験』」2021

    • Author(s)
      新田啓子
    • Journal Title

      『現代思想』

      Volume: 第50巻1号 Pages: 132-139

  • [Presentation] 「アメリカ文学と不確かな黒人」2021

    • Author(s)
      新田啓子
    • Organizer
      九州アメリカ文学会第66回大会
    • Invited
  • [Book] 『ひとりの双子』(新田啓子「解説――乱反射する片割れたち」)2022

    • Author(s)
      ブリット・ベネット著、友廣純訳
    • Total Pages
      480 (471-78)
    • Publisher
      早川書房
    • ISBN
      4152100907
  • [Book] 『愛について』(新田啓子「解説――すべてが途切れなく」)2021

    • Author(s)
      竹村和子著
    • Total Pages
      430 (391-417)
    • Publisher
      岩波書店
    • ISBN
      9784006004415
  • [Book] 『脱領域・脱構築・脱半球』(新田啓子「ブラック・アトランティックへの船出――第一次世界大戦とイーディス・ウォートン」)2021

    • Author(s)
      巽 孝之監修、下河辺美知子、越智博美、後藤和彦、原田範行編著、新田啓子他45名分担執筆
    • Total Pages
      554 (212-31)
    • Publisher
      小鳥遊書房
    • ISBN
      9784909812704
  • [Book] 『ヘヴィ――あるアメリカ人の回想録』(新田啓子「『母たちの庭』を推敲すること」)2021

    • Author(s)
      キエセ・レイモン著、山田 文訳
    • Total Pages
      336 (322-31)
    • Publisher
      里山社
    • ISBN
      4907497148

URL: 

Published: 2022-12-28  

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