2021 Fiscal Year Research-status Report
The House that Tom Built: Murphy's Theatre and Irish History of Mentalities
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18K00389
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三神 弘子 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (20181860)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トム・マーフィー / アイルランド演劇 / ドルイド・シアター・カンパニー / 心性史 |
Outline of Annual Research Achievements |
トム・マーフィーの劇作品にみられる「家」=国(アイルランド)という大きな枠組みの中で、連続上演の意味と可能性について、主に2012年、2014年のドルイド・シアター・カンパニーによるサイクル上演を取り上げ、検討を加えた。一つのグループを形成する俳優たちが、1人の演出家(ギャリー・ハインズ)のもとで、複数の劇を連続して演じるという上演形態において、舞台上における身体的連続性が、マーフィーの内的な精神史を掘り起こす手がかりとなり、ひいては、彼の作品全体を、アイルランドの心性史に位置づけることができることを考察した。(「ドルイド・シアター・カンパニーにおけるサイクル上演:「ドルイドマーフィー」の場合」と題する論文で発表。) また、ZOOM開催となった国際アイルランド学会(IASIL)の年次大会(本来2020年度にポーランドのUniversity of Lodzで開催を予定されていた大会)で、'Tom Murphy in Translation'というパネルに、'Tom Murphy in Japan'という題で参加し、日本におけるマーフィー作品の受容の状況に関して報告した。ブラジル、ハンガリー、アイルランド、チェコからのパネルの参加者、さらには一般の参加者との間で、アイルランド以外の文脈において、マーフィーの作品がどのように受容されうるか、また受容が難しい点はどこかについて、有効な議論を交わすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍におけるオンラインでの授業にも大分慣れ、前年度に比べると研究に割く時間も増えたが、海外への研究出張ができず、予定していたアーカイヴ資料の調査を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長することが認められたので、2022年度を最終年度として位置づけ、課題を総合的にまとめる。コロナ禍の期間、叶わなかった研究出張を実施し、トリニティ・カレッジ・ダブリン図書館、大英図書館のアーカイヴで、上演記録を調査し、テキスト分析との比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
海外研究出張を行うことができなかったことに加え、物品費、人件費等の支出もなかったため。
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Research Products
(2 results)