2018 Fiscal Year Research-status Report
Early-modernity of the Stock Type of Villain in English Revenge Tragedy
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18K00392
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 友紀 関東学院大学, 経営学部, 教授 (80529701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代初期イングランド / 復讐劇 / セネカ悲劇 / 反価値 / 人物造型 / 正義 / 様式 / 常套 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究成果の詳細および調査の詳細は以下の(1)~(4)の通りである。 (1)プロタゴニストとtyrant(暴君)とアゴーン的対立は古典演劇由来であり、現代の様々なドラマ的メディアに受け継がれている点を、論文「小人とは誰か:『借りぐらしのアリエッティ』の少女の通過儀礼」(『宮崎駿が描いた少女たち』新典社2018年所収)にて分析。 (2)美学的・倫理的価値尺度では受け入れがたい反価値の表象が、ルネサンス的な人間性の定義に反するもので構成されていることに注目し、人文主義特有の様々な概念と照らし合わせて分析した論文“Revenge Drama as a Convention of Representing Anti-Values”をESSE(The European Society for the Study of English)2018年大会(チェコ共和国、マサリク大学にて2018年8月開催)で口頭発表。 (3)近代初期復讐劇の、腐敗権力の暴君というアンタゴニストの典型的イメージに注目し、近代初期社会における王権、および王権を抑制するのが法曹の役割であると自任する教養人の心性を検証した論文“Vigilance over Monarchy in Early Modern English Revenge Tragedy”を、国際学会Monarchy and Modernity(イギリス、ケンブリッジ大学にて2019年1月開催)で口頭発表。 (4)近代初期復讐劇の正義概念へのセネカ劇の反権力の思考の影響を検証した論文“The Modern Image of Justice: Senecan Tragedies as a Medium of Renaissance Humanism”は、2017年の口頭発表を書き直した論文であり、2019年度に国内ジャーナルの掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当課題の掲げる3つの問題について、2018年度に発表した4つの論文で検証を行い、結論を導き出している。3つの問題とは、[1]近代初期復讐劇への古典からの影響、[2]近代初期復讐劇のルネサンス的・近代初期的特徴、[3]現代の娯楽映画への近代初期復讐劇の影響、という3つの観点からの反価値の人格化表象の分析である。研究実績概要報告で挙げた(1)の論文では、上記[3]について、復讐的プロットにおける対立の図式を現代のアニメーション作品に見出し、復讐が通過儀礼の表象であるという結論に至った。(2)の論文では、人間の概念にかかわる人文主義的な価値尺度が、復讐劇の表象を形成している点を検証した。(3)の論文では、復讐劇の典型的アンタゴニストの人物造形は、文化的コンテクストにおいて当時の王権と人民の関係性にかかわるものである点を検証した。(4)の論文では、反権力という意味合いを帯びた正義の概念が、復讐劇の様式の古代から近代初期への継承において引き継がれたことを検証した。 明らかにすべき問題として設定した3つのテーマについて、一定の究明は2018年度中にでき、また、発表の機会を得て公表も終えたため、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、申請当初に設定した3つの問題点の究明に努める。2019年度は以下の3つの活動を予定している。 (1)人間の条件ともいうべき、人文主義的な人間の観念へのアンチテーゼの表現が復讐劇の表象の多くを占めている点の検証のために、反人間性の表象にかかわる、近代初期の演劇作品を翻案した現代のSF映画を分析する。復讐という行為そのものが反人間性を象徴するという問題点を検証する。その議論を論文の形で、国際学会で発表する予定である。 (2)復讐という近代初期社会の倫理的価値基準では受け入れられない行為が、復讐劇において断罪されている点に注目し、反価値の断罪について検証する。この研究も論文の形で、国際学会で発表する予定である。 (3)研究協力者と研究代表者との3名で、当研究課題にかかわるシンポジウムを、学会が主催する会合の機会に行う予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度の予算をすべて消化しなかったため、次年度使用額が生じた。2019年度は研究協力者の支出を予定しており、前年度の残金を使用する。
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Research Products
(3 results)