2020 Fiscal Year Research-status Report
Consumer Culture in Atlantic Canada: Critical and Aesthetic Responses
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18K00393
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代アトランティック・カナダ文学 / 消費文化 / 環境意識 / 持続可能な消費実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における研究成果は、以下の通りである。該当年度においては、カナダ文学研究 第 28 号において、一本の研究論文を発表することができた。それは英語で執筆された論文であり、その研究論文のタイトルは、A floating acre’: Home and the Canadian Ecogothic in Michael Winter’s Minister Without Portfolioであった(日本語では「「浮遊する土地」―マイケル・ウィンターの『無任所大臣』におけるホームとカナディアン・エコゴシック―」と題された)。本論では、ウィンターの小説『無任所大臣』を綿密に分析する中で、小説の主人公にまつわる、アフガニスタンでの戦争や建設の経験に着目し、カナダにおける、現在のニューファンドランド沿岸の土地使用や土地消費の問題を明らかにした。そしてまた、ニューファンドランド沿岸で、そうした土地使用及び土地消費の問題群に対する批評空間がどのように形成されているのかについて、検証を深めることができた。本論文は、気候変動の時代における資産、土地使用、持続可能な消費といった問いと結びついたものであり、それは消費文化に関する当該研究テーマを有意義に発展させたものであることは間違いない。だが、残念ながら、2020年度は、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、予定されていた2本の研究発表は中止となってしまった。さらに2020年度においては、受賞歴のある二人の作家、リサ・ムーアとエヴァ・クロッカーを招聘する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の世界的拡大のため、二人の日本への渡航及び日本での滞在は難しく、開催するはずだった講演会や研究会もすべて中止となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、予定していた2本の研究発表を行うことは難しかった。そのうちの一つは、アメリカのメイン州オロノにあるメイン大学カナダ・アメリカセンターで2020年5月に開催されるはずだった、アトランティック・カナダ研究に関する国際コンフェレンスでの発表であった。そのコンフェレンスでは、““Those lines are so easily blurred”: Emotional Labour and the Commodification of Care in Lynn Coady’s Watching You Without Me”というタイトルで発表する予定であった。もう一つは、日本カナダ文学会での研究発表であり、それは2020年6月に名古屋大学で開催される予定であった。だが、それも中止となってしまった。そこでは、“Genre and Style in Kris Bertin and Alexander Forbes’ The Case of the Missing Men”と題する研究発表を行うことになっていた。なお、2021年度の日本カナダ文学会は6月19日にオンラインで開催されることになり、2020年度に実現できなかった該当研究発表は、その大会で行うことになっている。2020年度はまた、名古屋で6月に日本カナダ文学会主催で開催されるはずだった、2人の作家リサ・ムーアとエヴァ・クロッカーによる講演会や研究会も中止にせざるを得なかった。残念ながら、2人の来日は2022年度まで延期となってしまった。2020年度にアメリカのメイン大学で開催される予定であったアトランティック・カナダ研究に関する国際コンフェレンスについては、2021年度中の開催は未定となっている。したがって、以上の理由から、当該研究の研究期間を一年延長することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、Lynn Coadyの最初の短編集Play the Monster Blind (2000) 及び最初の長編小説Strange Heaven (1997)について論じる予定である。本研究は、2019年度に刊行された『カナダ文学研究』27号掲載のCoady論(ポストモダン消費文化と大西洋岸カナダ作家論)の続編となる。今年度新規に執筆する論考は、学術論文或いは著書の1章として発表予定である。併せて、ニューファウンドランドの作家Kenneth J. Harveyの小説Inside (2007) の論考も執筆中である。本論は殺人の冤罪を着せられた主人公を通じて、社会階級、ジェンダー及び消費行動を批判的に扱っている。また2020年に日本カナダ文学会研究大会で発表予定であった“Genre and Style in Kris Bertin and Alexander Forbes’ The Case of the Missing Men” [ Kris Bertin and Alexander ForbesのThe Case of the Missing Menにおけるジャンルとスタイル]を今年6月に発表する。本発表はBertinとForbesのグラフィック・ノベルにおける消費行動とノスタルジアについ論じる。
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Causes of Carryover |
現時点では、コロナウィルス万円のため、海外での研究発表実施や研究調査が可能であるとは考えられない。また本予算で当初予定していたLisa Moore及びEva Crockerの来日招聘も2022年度に延期された。状況が許せば、今年度後半にカナダへの調査出張を実施したい。もし不可能な場合には、日本国内での調査に限定される。その場合、予算残額は研究資料の購入に充てられる。
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