2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00394
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
竹野 富美子 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (20751746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学 / 博物学 / アメリカ文学 / 英語圏文学 / 環大西洋 / アメリカ研究 / 19世紀 / カリブ海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、19世紀アメリカに広く受け入れられていた自然史がソローやポーなどに見られる越境的想像力にどのように影響を与えていたかを包括的に考察することである。平成30年度の研究実績は以下のとおりである。2018年6月、京都で行われた国際ポー・ホーソーン会議(The Poe studies Association, The Poe Society of Japan, The Nathaniel Hawthorne Society, and The Nathaniel Hawthorne Society of Japan, Poe and Hawthorne International Conference in Kyoto, Japan)においてナサニエル・ホーソーン「イーサン・ブランド」について口頭発表を行い、作品の舞台となったグレイロックと当時の自然史研究との関連について言及した。2018年9月日本ナサニエル・ホーソーン協会中部支部研究会において、本研究課題に直接関連するエドガー・アラン・ポーの作品に見る自然科学の影響について口頭発表した。2019年3月にはアメリカ、ワシントンDCにおいて、アメリカの文学研究では最大規模の学術団体MLAの地方支部、北東支部MLAの年次大会でやはり本研究課題と直接関連する、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」に見る南部の自然史と作品との関りについて、口頭発表を行った。同じく2019年3月には倉橋洋子、高尾直知、竹野富美子、城戸光世編著『繋がりの詩学―近代アメリカの知的独立と〈知のコミュニティ〉の形成』(彩流社)において「まえがき」「『マサチューセッツの報告書』とソローの「マサチューセッツの博物誌」」を寄稿し、本論文ではソローとボストン博物学協会との関わり、またソローの作品への影響について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度となる平成30年度は、19世紀米国の自然史に関する先行研究の資料や書籍の収集、整理と解読、国内の学会参加のみを予定していた。しかし、6月に行われた京都での国際ポー・ホーソーン会議で学会発表を行い、本研究課題において業績のある海外の学識者から有益な示唆を受け、それによって想定していたよりも早く研究を進めることができた。得られたアドバイスをもとに、北東支部MLA年次大会に口頭発表を申請したところ、受理されてワシントンDCで行われる大会に参加できることになった。前倒し支払い申請が認められ、この大会に参加できたことで、有益な助言を得、またアメリカ文学研究の知見に触れることができた。また、これらの学会発表で得た示唆を踏まえて加筆・修正した、ソローと自然史の関りに関する日本語論文を出版できたことなどから、当初の予定以上の進展と収穫を得ることができたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度には平成30年度の成果を踏まえて、引き続き文献の収集と先行研究の整理を行う。平成30年度に参加した国際ポー・ホーソーン会議や、北東支部MLA年次大会で得られた知見、助言をもとに資料収集、資料分析を継続する。特に北東支部MLAエドガー年次大会の口頭発表でのエドガー・アラン・ポーと自然史との関りの考察から、ナサニエル・ホーソーンの作品に見られる環大西洋的視点にも、当時の自然史研究が構築していた言説空間の影響があるのではないかとの気付きがあった。これらの成果を令和元年2年にわたって研究発表や論文の形にし、成果報告を行いたい。
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Causes of Carryover |
国際学会発表のための英文論文校正費や書籍、プリンターインクなどの購入のために5万円を予定していたが、校正費や消耗品費が予想したよりも低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度には、過年度の予定通り校正費やプリンターインクなどの文具、消耗品および書籍購入にあてたい。
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Research Products
(4 results)