2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the Transition of Images of Irish Emigrants and their Social Backgrounds
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18K00401
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
河原 真也 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (80454924)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アイルランド文学 / 移民 / James Joyce |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、前年度から行っている、Colm Toibin (1955- ), Sebastian Barry (1955- ), Joseph O'Connor (1963- ), John Boyne (1971- )ら、1950年代から70年代生まれのアイルランド人作家が描く移民の姿を抽出し、それらを読み解くことを主な作業とした。そのうえで、20世紀初頭に創作活動を行ったJames Joyceや同時期の作家たちが描く移民像との比較を行い、20世紀から21世紀のアイルランド小説における移民像の変遷と、アイルランドの人々の価値観や社会情勢の変化が大きく連動しているとの仮説を、最新の歴史研究や定期刊行物に現れた移民をめぐる言説などをもとに立証し、研究の総括を行った。 研究を締めくくる作業を進めるうえで、新たな視点を得る機会に恵まれたことも付記しておきたい。それはアイルランドにとってある意味で都合の悪い歴史的事件である、「アイルランド内戦」にまつわるものである。研究最終年度である2022年は、アイルランド内戦勃発百周年にあたる年で、アイルランドや英国、米国において、内戦をめぐる多くのオンライン・イベントが開催された。それらへの参加によって、アイルランド内戦についての記憶の成立過程が、アイルランド人の移民に対するものと極めて類似点が多いことに気づくと同時に、移民を生み出した新たな要因としてアイルランド内戦も挙げられることが判明した。その研究成果の一部は、James Joyceとその作品の歴史的背景を紹介するイベントや『ユリシーズ』論集のコラムとして世に出すに至った。
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Research Products
(3 results)