2019 Fiscal Year Research-status Report
文筆家としてのコールリッジのプロフェッショナリズム--文学・哲学講演と後期の著作
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18K00402
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
園田 暁子 福岡大学, 人文学部, 教授 (00434564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コールリッジ / 講演 / 文学的自叙伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、S.T.コールリッジの『文学的自叙伝』と文学をテーマとした講演との関係に着目し、文学者や文学作品の存在意義と社会における役割についてのコールリッジの理念の特質について研究を行った。 当時の社会、経済、文化的背景のなかでコールリッジの講演をとらえ直すため、18~19世紀の社会と経済に関する研究書を購入、講演とその後の著作において表明された考えの成立過程を跡付けるために、コールリッジの『ノートブック』の電子書籍版を購入し研究を進めている。2019年7月30日から8月7日には、イギリスにおける文献調査と、コールリッジが講演を行った会場についての調査を行った。従来、階級や階級意識とともに論じられることがほとんどなかったコールリッジであるが、その機会ごとに異なるテーマで異なる聴衆に向けて行った講演とその会場を見ると、階級や階級意識という視点から講演を論じることで新たな研究が可能であることがわかり、今後の研究における方向性を確認することができた。2020年度は、『省察への導き(1825, 1831)』と『教会と国家の構成について(1829, 1830)』を対象にこの方向での研究を進めて行く予定である。 研究の成果としては、昨年度まとめた「響きあう省察――『省察への導き』の出版に見る読者と編集者の対話」が、大石和欣編『コウルリッジのロマン主義――その詩学・哲学・宗教・科学』(東京大学出版会)において刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画で予定していた研究を進めることが出来ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
『省察への導き(1825, 1831)』と『教会と国家の構成について(1829, 1830)』を対象にコールリッジの階級意識と聴衆・読者の分類との関係に着目して研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
校務との兼ね合いで、予定していた国内の学会に参加することができなかったため、その分の研究費が繰り越しとなった。コロナの状況が許せば2020年度に研究のための旅費として使用し、難しい場合は、文献を入手するために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)