2019 Fiscal Year Research-status Report
ユダヤ系アメリカ詩の伝統なユダヤ的素材の援用と逸脱の系譜
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18K00408
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮本 文 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90507930)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレン・Ginsbergバーグ / ユダヤ系アメリカ文学 / カディッシュ / アメリカ文学 / ユダヤ系アメリカ文学 / エレジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ユダヤ系アメリカ文学において詩の系譜が不在であることに着目し、ユダヤ系アメリカ文学における詩の意義と独自性および系譜を明らかにすることが目的である。そのために、ユダヤ文学における詩の位置づけの確認を踏まえ、ユダヤの儀礼的な詩形、とくにKaddishに注目し、ユダヤ系アメリカ詩人がユダヤ詩の伝統をどのように援用・反復・逸脱しているのかを辿り、ユダヤ系アメリカ詩のパターンを探ることによりユダヤ系アメリカ詩の系譜を明らかにする。 その検証のため、2019年にアメリカ合衆国のニューヨークに行き、コロンビア大学やニューヨーク市立図書館などでアレン・ギンズバーグと母ネィオミの往復書簡をはじめ、ギンズバーグ関連の資料やユダヤ系女性とカディッシュの関連を探る資料などを手に入れた。またユダヤ系の独自性をより検証するために、日本や英語圏の詩や文学の資料なども入手し研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リサーチ旅行の成果などをまとめてその成果の一部を2020年度中に論文として出版することを目指して課題研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
アレン・ギンズバーグの"Kaddish"を念頭に、チャールズ・レズニコフの"Kaddish"とアドリエンヌ・リッチの"Tattered Kaddish"を中心に、両者がユダヤの伝統的詩形のカディッシュをどのように援用しているか検証することにより、ユダヤ系アメリカ詩人がユダヤ詩の伝統をどのように援用・反復・逸脱しているのかを辿る。ギンズバーグと同様に、両者は伝統的なカディッシュから逸脱したアンチ・カディッシュの立場からカディッシュを援用しており、これらの詩人たちの共通点を見出し、ユダヤ系アメリカ詩のパターンを探ることによりユダヤ系アメリカ詩の系譜を明らかにする。 またレズニコフとリッチの研究をある程度進めたのちに、とりわけユダヤ系女性詩人たちに注目し、それまで伝統的なユダヤ文化に置いて周辺的な声に置かれていた彼女たちがどのようにカディッシュを援用しているのか探るつもりである。2020年度中に成果の一部を論文として出版することを目指している。
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Causes of Carryover |
2018年度および2019年度にリサーチ旅行を予定していたが、2018年度に諸事情で繰り延べた結果、次年度使用額が生じた。
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