2018 Fiscal Year Research-status Report
The Field of Poetics and Science:Boundaries, Translations and Re-creations of Natures from the Age of Romanticism to the 21st Century
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18K00409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
アルヴィ なほ子 (宮本なほ子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20313174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Frankenstein / ロマン主義 / 人間であること / 科学 / 文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年は、Mary Shelleyの/Frankenstein, or the Modern Prometheus/の刊行200周年記念の年で、世界各地で関連するテーマで様々な学会、セミナーなどの催しが行われた。/Frankenstein/は、文学と科学の交錯を考える新しいモデルを提供する作品であるので、本研究でも/Frankenstein/から詩学と科学の新たな神話を探ることを今年度の大きな目標とした。7月には、アメリカのKeats-Shelley Association of Americaが世界中の大学や研究機関と連携して行ったFrankenreadsの企画ともタイアップした"Romantic Regenerations"という国際学会(上智と東大駒場キャンパスで開催)の基調講演の一つとして、Alan Bewell(Toronto)と共同で、"Frankenstein and Manga"というテーマで発表した。10月には、上記に関連して、Keats-Shelley Association of Americaの研究ブログでのインタビュー“Frankenreads Q &A: University of Tokyo”に回答した。11月には、人間であることを定義するときに、言葉(人文学)と科学がいかに共振せねばならないかを、高校生と大学生のための金曜特別講座(東京大学教養学部)において、「言葉の力と科学の力 ― 「フランケンシュタイン」200周年」というタイトルで講演を行った。12月には 日本シェリー研究センター年第27回大会シンポジアム「プロメテウス・カルトと「フランケンシュタイン」」において、先端的な科学研究において、いかに人間であることの意味が問われるかについて、「七つ目のC――二人の現代のプロメテウス」というタイトルで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、英語での発表も含めて、3つの口頭発表を行った。12月に3つめの口頭発表を終えてから、それらを論文として纏める作業を始め、そのうち1つは、すでに最終原稿を査読委員会に提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Mary Shelleyの/Frankenstein, or the Modern Prometheus/という人間と科学の関わりについて新たな神話を生み出したロマン派の作品を集中的に検討してきたが、今後もさらに検討する一方で、/Frankenstein/の次の作品、/The Last Man/も科学が現代直面している諸問題を先取りして提示する部分があるので、/The Last Man/が問いかける「疫病」の問題も視野に入れつつ、人文学と科学の相互補完的な関係を人文学の側からいかに追求できるかの考察を進めていく。
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Causes of Carryover |
日本で開催された国際学会で基調講演をすることになり、それを含めて3つの国内での講演があったために、海外の学会に行くために計上していた旅費を使わなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は、昨年ほど多くの国内の学会に参加せずに、海外での資料収集などのリサーチに旅費をあてる。
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