2019 Fiscal Year Research-status Report
Their Bloody Projects: Violence and Identity in Fiction by Muriel Spark and Other Writers
Project/Area Number |
18K00411
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
澤田 知香子 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00456493)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | スコットランド現代小説 / カナダ現代小説 / ミュリエル・スパーク研究 / 身体とバイオレンス / 土地(Home, Community) |
Outline of Annual Research Achievements |
1)初年度から引き続き一次資料及び二次資料の収集を行う中で、それぞれ、スコットランドの首都エディンバラ、シェットランドというマージナルな土地、そして世界をめぐりハイランドへとたどりついた、Malachy Tallack, Gavin Francis, Kapka Kassabovaといった多様なバックグラウンドを持つ現代のスコットランド作家による多様な作品の分析と検討を進めた。 2)今年度のEdinburgh International Book Festivalにおいては、本研究テーマとの関連でMiriam ToewsやRobert Macfarlane, Marina Warnerなどの講演・パフォーマンス等において情報収集・意見交換を行い、(上記1で挙げた)作家Gavin Francisと直接に話す機会を得た。また、スコットランド国立図書館キュレーターのMcIlroy氏とはスパーク研究及びアーカイブに関する情報交換を行った。 3)昨年度から計画していたTallack氏の招聘が先方の都合によりキャンセルとなったが、日本文学・文化に通じ、詩人としてだけではなく小説家・脚本家として活躍し、文学賞審査などに携わっているKevin MacNeil氏を招聘し、所属機関における学生のための講演やインタビューを実施した。 4)日本カナダ文学会年次大会のシンポジウム「カナダの短編小説」において、本研究の重要テーマである「身体及びバイオレンス」と"home"("genius loci")という継続的テーマを絡め、重要な文学賞を受賞して活躍中のカナダ人作家Alexander MacLeodの著書について口頭発表を行い、それに基づく論文"Alexander MacLeod's Stories: Genius Loci in the Dark and in Decline"を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年を追うごとに過酷になる校務に忙殺されるかたわら、近年力を入れてきたカナダ文学研究の領域において、Alexander MacLeodの評価の高い短編集について英語での口頭発表と論文執筆を行い、研究成果の発信を実行できた。また、1年をかけて計画してきたTallack氏招聘が急なキャンセルとなったが、MacNeil氏の招聘を実施することで教育現場に研究成果を還元することができた。そのプロセスにおいて現代スコットランド文学の多様なライティングについて知見を得ることができたことは想定以上の収穫となった。Edinburgh International Book Festivalでも現代社会の重要テーマを反映する多岐にわたるイベントから、本研究を継続的に発展させるためのインスピレーションを得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年4月に新しい教育研究機関に異動したことと不確定な社会状況が重なり、今年度の研究活動は当初の計画から幾らかの変更を余儀なくされる。本課題に関わる重要な活動としての海外作家・研究者招聘(今年度はKapka Kassabovaと話を進めていた)は社会状況に鑑みて中止あるいは延期とする可能性が高く、これまでの研究成果につながった海外での研究活動も実施困難が予想される。従って、本研究期間の一年延長を検討しつつ、2020年度中においては本課題の基盤となっているスパーク研究をアップデートし、その領域における論文発表等の成果発信を目指す。具体的にはスパーク及びスコットランドの現代作家、女性作家の一次資料と二次資料を引き続き収集、検討し、分析内容を整理する。
|
Causes of Carryover |
夏期に予定していた研究出張を所属機関における業務のため短縮せざるを得ず、この経費が想定より低いものとなった。当初招聘を予定していたTallack氏のキャンセルによりMacNeil氏を招聘したが、時期が冬期にずれこんだため、想定していたよりも旅費や経費がおさえられた。また、年度全体においては計画した以上の成果をあげることができたが、異動が決まった年度終盤には研究のための時間や図書等の物品費立替申請手続きの時間がとれなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度における使用計画としては、現在使用しているパソコンに時々不具合が生じるため、新規購入する予定である。本課題研究に必要なアーカイブ調査等のための渡航、作家招聘など、継続的に行ってきたアクティブな研究活動が実施できる状況になり次第、そのための旅費や経費に充てる。また、引き続き、課題関連資料の購入に随時使用する。
|
Research Products
(2 results)