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2021 Fiscal Year Research-status Report

Genealogy of Two Culture Controversies

Research Project

Project/Area Number 18K00415
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

山田 雄三  大阪大学, 文学研究科, 教授 (10273715)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywordsふたつの文化 / 田舎と都会 / カルチュラル・スタディーズ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は19世紀なかばから現代まで英語圏でさまざまなかたちをとって起きた「ふたつの文化論争」の論点を明らかにするとともに、その系譜を歴史的にあとづける試みである。19世紀なかばにMatthew ArnoldがCulture and Anarchy (1869)を著し、価値を帯びた文化観の普及に努めて以来、価値付けから外れた文物や慣習に価値を再発見する反応および活動は、たえず生まれてきた。本研究では、このような反応や活動を「もうひとつの文化」普及活動とみなし、支配的な文化との論争が、時と場所を変えて20世紀末までふたつの文化論争の形態をとってきたことを広汎な資料調査をもとに明らかにする。ひいては、このふたつの文化論争の歴史的な変化のなかに、近代の成熟および衰微を探ることを目指した。
Raymond Williams 著The Country and the Cityが明確に示したように、田舎と都会という概念は近代以降に言説上構築されてきた。この認識にもとづき、「ふたつの文化」を扱った先行研究を調査し、これまでの研究の問題点や補うべき点を精査した。その結果、WilliamsやStefan Colliniの研究は、概してイングランド内の文化論に議論の幅を限定しているため、19世紀以降に先進諸国で同時発生的に起こる文化の分断を説明できないと判断するに至った。というのも近代の産業社会の発展とナショナリズムの醸成とは、英語圏国家間の関係のなかで生じたことが明白である以上、「ふたつの文化」論もまた、国家を超えたグローバル規模の展開として見直す必要がある。以上のような着想のもと、具体的な一次資料の調査・収集を行うべき段階に入ったが、パンデミックにより海外渡航が困難となり、じゅうぶんな調査・収集ができていないのが実情である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究目的の遂行のため、本研究代表者は、大英図書館、ケンブリッジ大学図書館及びスウォンジー大学図書館レイモンド・ウィリアムズ・アーカイヴを訪れて、資料の調査および有識者からの情報収集を行う予定にしていた。さらには未発見のリソースを求めて、ウェールズに点在する炭坑者図書館(Miners’ libraries)などを訪れて、新たな資料収集を試みる計画を立てていた。しかしながら本年度は、パンデミックにより、渡航が困難となり、十分な資料収集が出来ず、仮説を提示できるまでのデータが揃わなかったのが実情である。

Strategy for Future Research Activity

海外渡航の安全が確認されしだい、ウェールズに点在する炭坑者図書館(Miners’ libraries)などを訪れて、新たな資料収集を試みたい。また、1960年代のPopular Artsを調査する上で、映像資料の閲覧、分析が必須となる。英国映画協会(BFI)にも定期的に訪れて、映像資料の解析に努める。

Causes of Carryover

本当該研究は、助成金の大半を海外での調査費用に充当していた。実際に海外渡航計画を進め、航空チケットを購入していたが、パンデミックにより航空会社の判断で予約した便が欠航となり、やむなく渡航を断念せざるをえない事態となった。本研究は2023年3月まで補助の延長が認められたため、渡航の安全が確認されしだい、助成金は海外での調査に支弁する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 歴史のなかに “something” を求めて―1980年代の歴史主義をふりかえる2022

    • Author(s)
      山田雄三
    • Journal Title

      Shakespeare Journal

      Volume: 8(61) Pages: 1-9

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] コメンタリー「2020年「から」考える―研究/教育の過去・現在・未来」2021

    • Author(s)
      山田雄三
    • Organizer
      第21回国家と法研究会
  • [Presentation] コメンタリー「レイモンド・ウィリアムズ著『テレビジョン』(木村茂雄・山田雄三訳)」2021

    • Author(s)
      山田雄三
    • Organizer
      レイモンド・ウィリアムズ研究会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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