2019 Fiscal Year Research-status Report
Traces of Anglo-saxon whites' invasions seen through African American and African literature and medicine
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18K00419
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
玉田 吉行 宮崎大学, 多言語・多文化教育研究センター, 特別教授 (80207232)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アングロサクソン / リチャード・ライト / アレックス・ラ・グーマ / エボラ出血熱 / エイズの小説 / アフリカの歴史 / アフリカ系アメリカの歴史 / 南アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は以下を実施しました。 1 「アングロ・サクソン侵略の系譜」をメールマガジンに連載。2 アレックス・ラ・グーマとリチャード・ライトの作家・作品論を執筆。3 東京外国語大学で資料収集。 1 メールマガジン「続モンド通信」(門土社:横浜)に「アングロ・サクソン侵略の系譜」の流れで、アフリカ系アメリカ関連1本(「オハイオ州デイトン」)、研究関連6本(「修士、博士課程」、「『黒人研究』」、「『言語表現研究』」、「大阪工業大学」、MLA (Modern Language Association of America)、「ゴンドワナ (3~11号)」)を掲載。 2 ライト関連3本(「ミシシッピ」(ライトの生まれたナチェズや住んでいた街を訪ねたことや1985年の生誕25周年記念シンポジウムのことなどをまとめたもの)、「リチャード・ライトの世界」(抗議から普遍的なテーマの移行に目を向けた作品論)、「イリノイ州シカゴ 3」)、ラ・グーマ関連2本(「『まして束ねし縄なれば』の文学技法―雨の象徴性と擬声語の効用を軸に―」(物語を表現からみた作品論)、「アレックス・ラ・グーマの伝記家セスル・A・エイブラハムズ」)を執筆。 3 東京外大のAA研資料室と本館で、4回資料収集をしました。アフリカ関係の資料は身近にありませんので、有り難いです。2月と3月に、神戸市外国語大学の黒人文庫と兵庫県立大学の図書館と国立民族学博物館での資料収集を計画していましたが、Covid-19で行けませんでした。また2月に予定していた「アングロ・サクソン侵略の系譜」の2回目のシンポジウムも出来ませんでした。終息を願うばかりです。予定していたシンポジウムはZoomシンポジウム「アングロ・サクソン侵略の系譜ー第二次大戦後に再構築された新体制(仮題)」で、前回と同じメンバーで計画中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アングロ・サクソン侵略の系譜を文学と医学の狭間から辿ろうとするテーマの範囲はかなり広く、4年で終わるとも思えませんが、前年度に引き続きリチャード・ライトとアレックス・ラ・グーマの作家、作品論は書きました。ラ・グーマの初期の作品や反アパルトヘイト運動で重要な役割を果たしたラ・グーマの生き方について発表した前回のシンポジウムも冊子にしました。 今回のテーマを決めた経緯や研究の方向性を確認するために、今まで研究してきた流れや書いてきたものなどについて、研究関連6本で整理しました。書いた雑誌の時代的な意義や、載せた作品論・作家論についても再評価しました。 本研究の大枠<ガーナと独立>、<コンゴの独立・コンゴ危機とエボラ出血熱>、<ケニアと新植民地支配とエイズ>、<南アフリカとアパルトヘイトとエイズ>のうち、<ガーナと独立>に関連させてライトの作品論とその周辺について書きました。特にアフリカに目を向けた経緯なども書きました。侵略の系譜で考えれば、作品の中で描かれたスラムもこれから扱うエイズなどの病気や貧困の問題は侵略過程の中で生まれた現象にしか過ぎません。<南アフリカとアパルトヘイトとエイズ>をまとめる上でも、ラ・グーマの描いた普通の人の暮らしはおさえておく必要があり、アパルトヘイトの人々のなかで生き抜く人々の姿を描いた初期の作品で作品論をまとめました。また、ラ・グーマの反アパルトへイト闘争の指導者としての人となりと、同時に作家としてのラ・グーマを評価した伝記家についても貴重な手がかりとしてまとめました。これから、<コンゴの独立・コンゴ危機とエボラ出血熱>、<ケニアと新植民地支配とエイズ>についてもまとめる作業が残っていますが、進捗状況はまずまずというところです。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の大枠<ガーナと独立>、<コンゴの独立・コンゴ危機とエボラ出血熱>、<ケニアと新植民地支配とエイズ>、<南アフリカとアパルトヘイトとエイズ>のうち、今年は①<ガーナと独立>についてはエンクルマの自伝を軸にガーナでの系譜をまとめたいと思います。②<コンゴの独立・コンゴ危機とエボラ出血熱>については、トーマス・カンザの評論、リチャード・プレストンの小説、バズゥル・デヴィドスンの「アフリカシリーズ」でコンゴでのアングロ・サクソン侵略の系譜をまとめたいと思います。③<ケニアと新植民地支配とエイズ>については、グギ・ワ・ジオンゴの評論、ワグムンダ・ゲテリアの『ナイスピープル』とメジャー・ムアンギのエイズの『最後の疫病』の二つのエイズの小説を軸に、ケニアでのエイズの小説カンザの自伝とエボラ出血熱を軸にコンゴの系譜、ケニアと南アフリカのエイズの小説を軸に、ケニアでのアングロ・サクソン侵略の系譜をまとめる予定です。 最後の年に、去年ある程度まとめた南アフリカでの系譜を、ガーナとコンゴとケニアに関連づけをして全体をまとめたいと考えています。 もし、余裕があれば、次回の科研費で扱いたい奴隷貿易と前回の科研費で扱った以降のエイズの小説も少し検討して、今回の「アングロ・サクソン侵略の系譜」に添えられればと思っています。奴隷貿易は近代社会に一番大きな影響を与え、資本主義を方向付けさせた出来事ですし、エイズ治療薬は人類史上もっともお金になる製剤であるからです。
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Research Products
(3 results)