2020 Fiscal Year Research-status Report
Modernism and Autobiography: Stein, Hemingway and Fitzgerald
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18K00425
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
フェアバンクス 香織 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (70409613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モダニズム文学 / 自伝研究 / マニュスクリプト研究 / アーネスト・ヘミングウェイ / ガートルード・スタイン / F. スコット・フィッツジェラルド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカのモダニスト作家が執筆した自伝および自伝的作品の草稿調査を行い、それぞれの出版本と比較することによって、草稿が遺族ら第三者によ る編纂を通じてどのように書き換えられ、作品における「私」が脱構築/再構築されたかを明らかにすると共に、モダニズム文学における自伝の特徴を新たに見 いだすことを目的としている。対象とする作家はガートルード・スタイン、アーネスト・ヘミングウェイ、F. スコット・フィッツジェラルドである。
三年目にあたる2020年度は、次の三点の研究を遂行する予定であった。(1)2019年度末に予定していたアメリカのJFKライブラリー内「ヘミングウェイ・コレクション」での長期原稿調査。(2)プリンストン大学ファイヤーストーン図書館で行うフィッツジェラルドの草稿研究。(3)ヘミングウェイ国際大会での成果発表。しかし長引くコロナ禍の影響で(1)の機関は未だ閉鎖中、(2)についても渡米が叶わない状況が続いている。また(3)についても次期開催の目処が立っていない。
そのような状況から、2020年度は当該研究課題のテーマを「モダニスト作家と1918年パンデミック」に一部変更して、研究を継続させた。具体的には、スタインやヘミングウェイら多くのモダニスト作家が第一次世界大戦中、スペインかぜに端を発したパンデミックの惨状を目の当たりにしながら、自身の自伝(的小説)にはその体験や記憶をほとんど記していない点に着目。彼(女)にとって1918年パンデミックはどのような存在だったのか、大戦をさまざまな主題・手法で描く一方、パンデミックについてここまで徹底的に無言を貫くのはなぜか・・・などについて考察した。この研究成果は、2021年度中に共著の一遍として公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍が長期化し、アメリカ合衆国のJFKライブラリー内「ヘミングウェイ・コレクション」での長期原稿調査、およびプリンストン大学ファイヤーストーン図書館でのフィッツジェラルドの草稿調査の実現が叶わなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは2020年度に行う予定だったF. スコット・フィッツジェラルド研究に向けて、プリンストン大学ファイヤーストーン図書館での草稿調査を始めたい。また、閉鎖が続くJFKライブラリー内「ヘミングウェイ・コレクション」についても、事情が許せば渡米し、ヘミングウェイの草稿調査を実施したい。
本課題研究は草稿調査の結果をもとに行われるため、アメリカでの調査が叶わない現状においては研究の推進が極めて難しい。もしコロナ禍により調査の実施が叶わない場合は、2020年度に行った「モダニスト作家と1918年パンデミック」研究を継続させる予定である。こちらは草稿調査を伴わないことに加え、本研究課題の主軸であるモダニスト作家の自伝(的作品)の研究で繋がっていることから、現在の状況でできる精一杯の対応策だと考えられる。
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Causes of Carryover |
2019年度および2020年度に予定していたアメリカでの草稿調査(JFKライブラリー、プリンストン大学ファイヤーストーン図書館)および成果発表が、コロナ禍により中止せざるを得なかったため。そのために用意しておいた研究費が次年度使用額として残ってしまった次第である。
2021年度は事情が許せば、渡米して草稿調査を実施したい。
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