2019 Fiscal Year Research-status Report
モダニズム以降のイギリス文学・文化におけるノスタルジアの情動論的・空間論的研究
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18K00426
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
秦 邦生 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00459306)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モダニズム / ノスタルジア / ポストモダニズム / ポストコロニアリズム / アダプテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、モダニズム期以降のイギリス文学・文化におけるさまざまなノスタルジア的表象とその変容を、情動理論ならびに空間的移動という観点から再考するものである。 研究計画の2年目にあたる2019年度は、まず過去を「振り返る」ノスタルジアと、過去のさまざまなテクストを「再利用する」アダプテーションとの関係を吟味し、この成果の一部は、2019年10月刊行の論集『イギリス文学と映画』として結実した。この論集では共編者として全体の取りまとめに関わった他、特に①アダプテーション研究の理論的展開について、「はじめに」においてまとめ、②イギリスの作家J・G・バラードの自伝的小説『太陽の帝国』における、第二次世界大戦ならびに国際都市上海についての倒錯したノスタルジアが、スティーヴン・スピルバーグによるその映画版にどのように継承されているのかを詳細に分析した。これによって文学テクストと映像テクストにおいて「ノスタルジア」的情動がいかに表現されるのかを具体的に検討することができたのが成果である。 また、とくに中心的な研究対象である作家ジョージ・オーウェルについては、『1984年』についての2018年度末の口頭発表を基礎とした研究を続け、協力者たちと関連するテーマでの論集刊行を企画しており、これについては、2020年度中の活字化を目指している。 さらに20世紀後半のポストモダニズム/ポストコロニアリズムの時代におけるノスタルジアの変容については特にサルマン・ルシュディの小説についてのノスタルジアに関する論考を執筆・改稿し、2019年度末に活字化した。しばしばポストモダン的軽薄さの烙印を押されるルシュディの作品を「自省的ノスタルジア」の観点から再評価したことにこの論文の意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画は一定の成果に結びついているが、折からのコロナウイルス感染症問題の発生により、いくつかの問題に直面している。具体的には、計画では2019年3月に海外のジョージ・オーウェル研究者を招聘し、講演ならびにシンポジウムを開催する計画があったが、コロナウイルス問題の発生により、計画は直前でキャンセルせざるをえなかった。この企画については2020年9月に再スケジュールする可能性もあるが、感染収束の先行きがまだ不透明であるため、具体的に動けてはいない。そのため「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に計画を立てたオーウェルに関する論集については、2020年度中の刊行を目指して研究を継続中であるが、本年度中に計画していた海外での資料収集には困難が予想される。コロナウイルス問題については継続的に注意しつつ、基本的には主に刊行されている資料を中心に収集し、研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月中に、ジョージ・オーウェルの文学・思想に関する専門家を海外から招き、講演会ならびにシンポジウムを開催して研究交流を図る予定であったが、コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、計画を延期せざるをえなくなった。そのため、この招聘にかかる費用を次年度使用額とした。招聘予定者とは2020年9月に再度計画を立てる相談をしているが、感染症収束の先行き不透明につき、再度の延期または計画の変更の可能性もある。
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Research Products
(3 results)