2022 Fiscal Year Annual Research Report
Narratives of Scotland in printed and pre-print English Chronicles
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18K00428
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高木 眞佐子 杏林大学, 外国語学部, 教授 (60348620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張替 涼子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (70778175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | John Hardyng / カドワレダ / Prose Brut |
Outline of Annual Research Achievements |
1450年代にバラ戦争が勃発してから、John Hardyngの年代記にはヨーク党派的な付け加えがなされた。本年度は、Hardyngによるヨーク派的な特徴がイングランド系の他の年代記に影響を与えたかどうか、という問題に焦点を当てた。 比較した結果は、年代記間相互の関連性を示唆する興味深いものだ。ランカスター朝の成立した1399年から百年戦争が終結する1454年、そしてヨーク朝が成立する1461年までのProse Brut写本には、異バージョンが多い。これはランカスターとヨークの党派的対立の混乱を反映していると考えられる。さらに、カドワラダのエピソードの有無もまた党派的違いによるもののようだ。調査から、Hardyngによるヨーク派的な付け加えは、Prose Brutのカドワラダの逸話と関連する可能性が明らかになった。 カドワラダはアーサー王の子孫で最後のブリトン人の王として扱われている。カドワラダの予言の逸話は、ヨーク朝リチャードとその子(後エドワード4世)の王位継承権の正統性を表す証拠として、Genealogical Chroniclesで見られるようにヨーク朝プロパガンダで盛んに利用された。 オックスフォード、ボドリアン図書館所蔵のArch. Selden B. 10写本は、Hardyngの年代記のヨーク朝寄りのものを所収しており、ヨーク朝とカドワラダの関連を推測させる記述を、カドワラダの項のすぐ後ろに挿入している。記述からまだヨーク公リチャードが生きている時期に書かれたことが推察され、この記述が後のエドワード4世=カドワレダ再来説の根拠になった可能性が高い。Prose Brut写本群におけるカドワレダの逸話の挿入は、ヨーク派の党派的言辞と捉え直すべきだろう。またHardyngの年代記から考えれば、Prose Brut写本への逸話の挿入は1450年代半ばからと推察できる。
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Research Products
(3 results)