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2018 Fiscal Year Research-status Report

British Middlebrow Writers in the Balkans and the Pacific

Research Project

Project/Area Number 18K00430
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

松本 朗  上智大学, 文学部, 教授 (00365678)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsイギリス文学 / メディア / ミドルブラウ
Outline of Annual Research Achievements

英国ミドルブラウ文学・文化研究の擡頭によって、戦間期イギリスにおいてミドルブラウ文学・文化が階層の再編成、教養の再定義、そして福祉国家形成の準備に寄与したことが明らかになりつつある。その一方で、英国ミドルブラウ研究が問題点を抱えていることも事実である。第一に、ミドルブラウ文学・文化研究が興隆する契機をつくったとされる、Alison LightがForever England: Femininity, Literature, and Conservatism between Wars (Routledge, 1991)で提示した〈内向きのイングランド性に彩られた戦間期英国像〉の批判的検証が不十分で、ネイションの枠組みがいまひとつ乗り越えられていないこと。第二に、このようにネイションの枠組みを維持したままのミドルブラウ文学・文化研究が「新モダニズム研究」に接続される場合、「新モダニズム」の方向性の一部である「グローバル・モダニズムズ」との整合性がとれないこと。本研究では、こうした問題点を克服するために、まずはミドルブラウ文学・文化、および教養と視野の拡大を求める下層中流階級の台頭が、国境をこえて見られた現象であること、つまり英国ミドルブラウ文学・文化が出版文化と連動した国際的な営みであることを照射する一視座として、東南アジアと中東というヨーロッパの〈外〉で第二次世界大戦を観察したMaughamとManningというミドルブラウ作家の定期刊行物上の活動に着目する。とりわけ、Maughamの小説テクストが掲載された定期刊行物について調査を行い、当時の国際的言説状況をあぶりだし、その中にMaughamの小説テクストを位置づけることは、本研究の重要な目的の一部である。さらに、Maughamの作品のアジアものがハリウッドによってミドルブラウ向けのアダプテーション映画として映画化されたことに着目し、文学研究と映画研究を接続する学際的研究を行うことも本研究のもう一つの意義と言える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2018年度は、8月にニューヨーク公立図書館にて、William Somerset Maughamが寄稿していたAsia誌、Cosmopolitan誌、Good Housekeeping誌、Living Age誌、Redbook誌等の定期刊行物の調査および資料収集を行い、秋から冬にかけて、これらの資料の分析を行うことで、Maughamの寄稿していた定期刊行物の言説状況の概略をつかむことができた。また、ミドルブラウ研究、William Somerset Maugham研究の研究書を渉猟し、先行研究のマッピングを行った。
ただし、William Somerset Maughamが寄稿した定期刊行物のうち、アジアの地政学に関係がありそうな雑誌としてAsia誌が挙げられるが、ニューヨーク公立図書館のAsia誌の蔵書には欠けている部分が多く、すべてを入手することができていない。また、Olivia Manningに関する調査がやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は、遅れているOlivia Manning関係の調査を進め、またWilliam Somerset Maughamに関する資料の分析を進めて、研究発表あるいは論文執筆の準備を始めることを目標としている。

Causes of Carryover

3月に家庭の事情により海外の図書館への調査に行くことができなかったため、その分を2019年度以降に繰り越すこととなった。2019年度は、New York Public LibraryあるいはBritish Libraryで調査を継続して行う予定であり、また、9月にギリシアのアテネ市で開催されるヨーロッパ定期刊行物学会(European Society of Periorical Research)の国際学会で研究発表を行うことが決定しているため、その旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 「モダンな女性知識人は擬装する――ヴェラ・ブリテンの『結婚――ある過渡期の小説』」2019

    • Author(s)
      松本朗
    • Journal Title

      『英文学と英語学』

      Volume: 55 Pages: 25, 44

    • Open Access
  • [Book] 『英文学と映画』2019

    • Author(s)
      中央大学人文科学研究所編(著者:篠崎実・新井潤美・宮丸裕二・松本朗・福西由実子・秋山嘉・丹治愛・安藤和弘)
    • Total Pages
      243
    • Publisher
      中央大学出版部

URL: 

Published: 2019-12-27  

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